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天空に舞うカーテン オーロラに思いを馳せて~千葉市科学館~【千葉市】

 2026年1月12日まで、千葉市科学館で開催されている企画展『中垣哲也オーロラワンダーランド』。大きいもので横幅1・6メートルを超えるパネルの、壮大なオーロラの写真が会場を飾っている。同館の事業課天文グループ グループリーダーの近藤正宏さんは、「本企画展は今年度初めから準備を進めてきました。30点以上のオーロラの写真は、とても幻想的です。鮮やかな緑、黄色、紫など様々な色が混じり合った光のカーテンを、年齢問わず楽しんでいただけます」と説明する。同館がオーロラをテーマにした企画展を行うのは数回目だが、「今回は特にオーロラの写真の数が多く、ヘラジカやグリズリーなど現地で地上の動物を撮影したものもご覧になれます。また、会場内に設けたシアターでは、約8分間の映像にBGMを添えて上映します。ぜひ、いらしてください」と、笑顔で続けた。

オーロラの仕組み

 空を彩るオーロラを、一度見てみたいと思っている人は多いだろう。だが、オーロラがどうしてできるのか知っているだろうか。オーロラは太陽から発生する荷電粒子が、地球の磁力線にそって引き寄せられ、地球の大気に含まれる酸素や窒素と衝突することによって起こる現象である。「太陽は11年周期で活発になるのですが、今年がその年に当たります。オーロラは様々な色で観測されますが、これは高度によって荷電粒子と反応する元素が異なるためで、赤やピンク、緑など、色の違いとして現れます」という近藤さん。
 オーロラは極域付近で観測されやすいが、太陽の活動が活発な時期など、ごくまれに日本の北海道や長野、長崎など、比較的緯度が低い地域でも見られることがある。そして、北半球で見られるときは、同時に南半球にも出現しているものの、季節によって視覚的に捉えられないこともある。大人でもその原理について詳細を理解しようとするのは難解だ。そのため、近藤さんは子どもたちには、「太陽から飛んでくるつぶつぶが、地球の大気に当たって光っているんだよ」と、説明しているとか。この『つぶつぶ』は荷電粒子(放射線)などを指していて、地球に直接届いてしまうとダメージが大きい。しかし、地球に存在する磁場や大気が盾となり、これらの放射線が地表に到達することを防いでいる。いわば、オーロラは私たちが地球に守られている証なのだ。
 同企画展の写真を撮影した写真家の中垣哲也さんも、オーロラに魅せられた一人。12月14日には、オーロラ撮影の地であるアラスカやカナダなど極地の話を交えた、中垣さんによるトークイベントも開催された。オーロラメッセンジャーである中垣さんは、札幌市在住の写真家。一眼レフを我流で学び始めたのは高校生の時のこと。北海道という大自然の中、星空を見上げ、多様な音楽で感性を育んでいた。診療放射線技師として病院に勤務する傍ら、2001年にニュージーランドで遭遇した赤いオーロラに導かれ、翌年から20年かけて北米極北へ90回以上赴いた。太陽活動の息吹と起伏、そして空に溢れる奇跡をレンズで捉えてきたのだ。
 2007年春に転身後は、自然から授かったメッセージ・畏敬の念を人々の感性に響くよう、オーロラを自身の音楽や映像で表現している。中垣さんのオーロラ映像は、同館のプラネタリウム『新オーロラを見た恐竜たち 虹色に輝くアラスカの大地』でも提供中だ。

中垣さん

尽きない魅力を感じて

 オーロラは、地上から高度100から250キロメートルほどの上空で発生している。宇宙ステーションより下ではあるものの、飛行機の移動空間よりはるか上。地球ではなく宇宙で起こっている現象といえる。「私は、マイナス40度のアラスカで実際にオーロラを見たことがあります。ブレークアップと言って、オーロラが爆発的に広がる現象があるのですが、それまで動かなかった光の帯が、まるでカーテンのように激しくゆらめく様子は圧巻でした」と、興奮したように近藤さんは、振り返る。そして、「オーロラは二度と同じ動きをしないんです。ただ、本当に寒くて、フィルムカメラで写真を撮ったんですが凍っていて、何も映っていませんでした!」と続け、笑う。
 決して記憶から色あせることのないオーロラ。近藤さんは、「この企画展を通して、オーロラという不思議な現象があることを知って欲しいです。そして、色々な条件が重なり、奇跡の上で成り立っている地球を取り巻く環境について、思いを巡らせてみてください」と、最後に語った。企画展についての詳細は、問い合わせを。

問合せ:千葉市科学館
千葉市中央区中央4丁目5番1号
Tel.043・308・0511
・時間:10時~17時
・休館日:12月29日~1月1日
・料金:入場無料
   (要入館券、常設展示入館券またはプラネタリウム観覧券 大人600円・高校生300円・小中学生100円 セット券あり)
HP:https://www.kagakukanq.com/