CITYLIFE 地域情報紙シティライフ ハーブで町おこし ローゼルを新たな特産品に~大多喜町農業活性化プロジェクト~【大多喜町】 2025.08.28 大多喜町では、2022年に『大多喜町農業活性化プロジェクト』を発足し、23年度よりローゼルの栽培・販売に取り組んでいる。同プロジェクトでは町を中心に、県職員OB、夷隅農業事務所、耕作者などが官民一体で、遊休農地活用のため、大多喜の土壌に合う、有害獣の被害を受けにくい作物を検討した。ローゼルはアオイ科フヨウ属のハーブの一種で、ハイビスカスティーの原料として知られる。町内の道の駅では、乾燥ローゼルやジャムなどが販売され、新たな特産品として期待されている。 クレオパトラも愛飲 鮮やかな赤色と酸味が特徴のハイビスカスティー。原料となるのがローゼルで、西アフリカ原産の暑さに強い作物だ。観賞用のハイビスカスとは種類が異なる。主に赤い実のタネを取り除いた萼(がく)や苞(ほう)が使われる。ビタミンCやクエン酸、アントシアニンやフラボノイドなどのポリフェノールが多く含まれるという。高さは2~3メートルほどに生育し、花の季節は8月下旬~11月で、9月頃が旬。栽培には比較的手が掛からないが、収穫は実を1つ1つ摘みとる手作業となる。 大多喜町での栽培初年度の23年は、14戸が約1000kg、24年度は17戸が約1800kgを収穫した。3年目の25年度は自家栽培を含む27戸が、早生や実の形が違うものなど13種の栽培にあたっている。町では補助として今年度まで種を配布し、収穫物は期限を設けて町が買い取り、道の駅『たけゆらの里』で委託加工される。今後の販路拡大が大きな課題となっている。平林昇町長は、「大多喜と交流の深いメキシコでも日常的に飲まれているハイビスカスティーは、古代エジプトのクレオパトラも愛飲していたといわれる。農業活性化のため、本州ではまだ取り組みの少ないローゼル栽培をパイオニアとして推し進め、大多喜だけでなく南房総の特産品にと考えている。道の駅での売り上げも伸びているので、さらに多くの方々に知っていただきたい」と熱く語る。 ローゼルの花(左)、ローゼルの実 7月30日の関係者によるローゼル畑の視察では、農業活性化プロジェクト委員長で、『NPO法人ジャパン ハーブ ソサエティー』理事長の柴田忠裕さんが、4~5月に種まきをしたローゼルの生育状況を見ながら、除草や追肥のアドバイスを行った。同行した東京都内の花卸売業者は、「ローゼルは秋の切り枝として、生け花でもよく使われていました。ぜひ流通にのせていきたい」と、切り枝に適した種類を熱心に見定めていた。「ローゼルは、根以外はすべて食べられるんですよ」と、柴田さん。実の苞を口に入れると、シャキシャキとした歯ごたえとともに梅干しのような酸味がパーッと広がる。葉はほのかな酸味があり、生でサラダとして食べられる。花は癖のない味で、サラダやスイーツに飾ると美しいアクセントになる。『大多喜町ローゼルの会』会長で、『さくらふぁーむ』を営む鈴木敏則さんは、「葉を肉と炒めると美味しい。ローゼルの塩漬けはコリコリと小梅のようで、おにぎりや和え物に使える」と話す。ほかにも、葉の天ぷらや、濃く出したハイビスカスティーにはちみつを入れ炭酸でわるジュースなどアイディアは様々。焼酎にもよく合うとのことだ。柴田さんは、「大多喜をハーブの町として盛り上げたい。ローゼルを第1弾として、食香バラやキャットミントも栽培していきたい。10月にはジャパン ハーブ ソサエティでローゼルのつみとり会を企画。大多喜に来れば、新鮮なローゼルが手に入るというのも魅力です」 ローゼル畑の視察にて ローゼルのレシピ募集中 昨年12月、販売促進のため町主催のローゼルレシピコンテストが開催され、全国から39レシピの応募があった。最優秀の『二層のローゼルチーズケーキ』は、ローゼルの鮮やかな色を生かし、ローゼルジャムの甘酸っぱさとクリームチーズの酸味が相性良く組み合わされている。ジャムには、町内で採取されたはちみつが用いられた。優秀賞には『ローゼルと大多喜産たけのこの酢豚』『大多喜産ローゼルと新生姜のルビードレッシング』、入選には『ローゼルモンブラン~二階建てトンネル仕立て~』『ローゼルとしょうがの炊き込みご飯』が受賞作となった。 町は今年度も、第2回レシピコンテストを開催する。今回から『ごはん・おかず』『デザート・ドリンク』の2部門に分けて募集。〆切は9/12。1次の書類審査で部門ごとに5レシピを選出し、2次で料理審査を行う。「ローゼルを身近に感じて家庭でも楽しめる、驚きや新しい発見のあるようなレシピをお待ちしています」。 ローゼルは、町内の道の駅『たけゆらの里』、いすみ鉄道デンタルサポート大多喜駅前の『観光本陣』で販売されている。乾燥ローゼル、ジャム、シロップ、クッキーなどの品揃えで、売り場では調理法などの情報も発信している。生のローゼルは、『さくらふぁーむ』のHPから注文できる。さくらふぁーむではローゼルの収穫体験を開催予定。それぞれ詳しくは問合せを。 問合せ:大多喜町役場農林課農政係 Tel.0470・82・2535 問合せ:有限会社たけゆらの里 Tel.0470・82・5566 HP:https://www.takeyura.net/ 問合せ:さくらふぁーむ Tel.080・1117・0667 HP:https://sakura-farmer.com 乾燥ローゼル(左)、ハイビスカスティー