CITYLIFE 地域情報紙シティライフ ふるさとビジター館 自然探訪~一人(羽)ぼっちのヒドリガモ~ 2025.09.04 市原市の総合公園・上総更級公園の修景池に、メスのヒドリガモ1羽が越夏している。仮にヒドリ子と呼ぼう。今年で2夏目を過ごしている。 本来ヒドリガモは群れを形成し、10月頃北方から日本に飛来して冬を越し、3月になると北方に繁殖のため飛び去る冬鳥。夏には房総地域には居ない野鳥だ。北に渡れない事情は、羽根を痛めて飛べなくなっているから。よく見ると右羽根がきちんとたためない様子。一作年冬に飛来し滞在している間に、ケガをしたのだろう。人工物に衝突したか天敵に襲われたか、原因は不明である。 この池にはカルガモが10羽程度、カワウも少数、ここで繁殖したカイツブリ親子、バン親子もいるが、同じ水鳥とはいえ種が異なるので仲間にはなれない。泳いだり、木道で休んだり、草地で草をついばんだりと、猛暑にめげず一生懸命生きているが、一人(羽)ぼっちで寂しくないのか。冬に一緒に過ごした仲間が北方に飛び去るのを見届ける際や、秋に北方から仲間が合流する際のヒドリ子の心情はいかばかりか、そのつぶらな目を見るとどうしても感情移入して、同情せずにいられない。 もし更級公園でヒドリ子を見かけたら、あまり人を恐れないので、皆さんなりにそっと優しく声をかけてあげてください。 (ナチュラリストネット/岡嘉弘) ◇ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。