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みんなで過ごせば、何かが見つかる 大人と子どもが安心できる街づくりを~NPO法人もぐらの冒険~【市原市】

【写真】主催したイベントにて。前列右から4人目が哲さん、同左から5人目が絵理さん

 市原市青柳を中心に活動しているNPO法人もぐらの冒険。運営をする小倉哲さんと絵理さん夫妻。『もぐらの冒険』は2014年8月に市民活動団体として発足し、昨年NPO法人化した。「子どもたちにとって自由に遊ぶことは、食べる、寝るに並んで不可欠なことです。僕たちがやっていることは特別でも難しいことでもありません。誰にどう思われるかということに捉われず、自分の引出しは自分で豊かにできることを五感で学んでもらえたら嬉しいです」と、哲さんは話す。『もぐらの冒険』は現在、『遊び場』の提供だけでなく、『おやこ食堂もぐもぐ』や『もぐもぐこども食堂』、シニア世代の憩いの場所を目指した『ぬくもりカフェ』も運営中。青柳地区は、ひとり親や外国籍の家庭の割合が高いそうだ。また、学童へも通うことができない子どもたちは、両親の帰りを一人で待ち続けることも珍しくないので、長期休み中は北青柳公民館で『みんなの居場所』を解放した。『みんなで子育てしようよ!』をモットーに大人と子どもが信頼できる人間関係を築きながら、のびのびと安心して過ごせる地域を目指して活動を続けている。

市原に根付く

「私は埼玉県出身で、夫の地元である市原市に移住してくるまで東京に住んでいました。保育士をしながら、便利だけど少し住みにくい東京より、ちょうどいい田舎で子育てをしたいと思っていたんです」と明るく笑う、絵理さん。元気に溌剌と話す姿が印象的だが、学生時代には人知れず悩みを抱えていたという。「姉が優等生で、自分も親に認められたいという気持ちが強かったです。負けん気の強い性格だったので勉強も頑張ったし、部活で部長も務めました。でも、どこか自分を認められなかったのかも」と悩む日々に終止符を打てたのは、大学生になってからだ。「当時夫が働いていた場所(フリースクール)で自他共に『ありのまま』を見つめて考えたことが大きかったです。なにより自分で自分のことを理解して、前を向くことが必要だった」と語る。
『生きづらさ』を感じたことは、誰しもあるかもしれない。どこか孤独を感じ、社会で簡単に評価されないことで『生きるって何だ』と悩むこともあるだろう。「そんな時、いるだけでいいと思える、子どもが生きやすい社会を作りたいと思っています。子育てをしていると、食事の時間はとても大変ですが、ある時、私は大人数で食事をしていて、子どもに怒っていないことに気づいた」という絵理さん。量を食べないこと、食べ方のマナー、ついつい子どもに注意しがちである。だが、大勢がいる空間で視野を分散することで、怒りの感情から楽しさに比重を移すことができる。
 食事をツールにみんなで過ごす場所を提供したい!という思いでスタートしたのが、『もぐもぐこども食堂』だ。子どもは無料、大人は300円で食事ができるここに、最近は100人ほどが集まるとか。「市内には18か所、各々のコンセプトで子ども食堂が展開されています。『もぐもぐ』はその場を共有して欲しいという思いから、会食限定。メニューはその日集まった旬の野菜で決めます。楽しかった!夫が夜勤だから助かった!などの言葉をもらうと嬉しいです」と、絵理さん。手伝いたい人は料理し、遊びたい人は自由にする。与える、与えられるという線引きをしないことが、みんなの心を自由にして居心地の良さを生み出すのだろう。

活動継続のために

 今年から始まった『ぬくもりカフェ』は、毎月第2木曜日に開催中のシニア向けの集いである。毎回専門家を招いてテーマを決めて、自由に会話をする。「例えば、薬剤師を呼んだときは家で飲む薬の第一種、第二種の違いや、飲み合わせの心配などについて話しました。ずっと子どもに焦点を当ててきましたが、地域まるっと大切にできたら」と、絵理さんは続ける。だが、活動についての悩みもある。哲さんは、「現状の社会福祉制度にはないけれど必要な活動だと思っています。この活動をするためには費用がかかるが、参加者の利用料だけで運営することはできません。例えば、人を雇用できず、大半の方がボランティアとして、同じ意思で参加してくれています。でも、交通費や報酬を出せたら、もっと気持ちよく活動できるのではないかと考えることもあります。ただ、商売として始めたとすると、この場のようなところを必要としている人が来られない。どうしたら私たちの理念を変えることなく、自走した活動を継続していけるのかが大きな課題です」と、真剣に語った。
 現在、お菓子を寄附してくれたり、食堂の手伝いをしてくれたりする市内の企業もある。他、10人ほどのボランティアと一緒に活動中だ。「私たちの活動が、『誰かの生きやすい』に繋がったと感じる時にやりがいを感じます。そんな風に考えたことなかった、誰も教えてくれなかった、と言われることもあります。なんか面白い!そう感じてくれる仲間を増やして、さらに活動の輪を広げたいです」と、絵理さんは最後に意気込んだ。活動や参加についての詳細は問い合わせを。

・おやこ食堂もぐもぐ 毎月第4金曜日
・ぬくもりカフェ    毎月第2木曜日
・いずれも予約不要   市原市青柳676
・応援会員(3000円/年会費)募集中

問合せ:小倉さん Tel.080・3505・7903
・HP:https://mogura-bouken.jimdofree.com/
・インスタ:https://www.instagram.com/moguraranobouken