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『御宿』の地名発祥の寺 年越は最明寺で!【御宿町】

【写真】境内にある北条時頼の歌碑と住職の松﨑さん

 御宿町須賀の岩井山最明寺は、『御宿』の地名発祥の寺とされる。「御宿せし そのときよりと ひととはば 網代の海に 夕影の松」。鎌倉時代に五代執権北条時頼(最明寺入道)が諸国を旅する途中でこの寺に宿泊し、裏山の岩井山山頂にて、夕日に輝く波静かな海や老松の枝ぶりの見事さに魅せられて歌を詠んだ。この歌の一節がそのまま地名の由来となったと伝えられる。寺の名も、このころから最明寺と称されるようになった。同寺では、毎年大晦日に『御宿年越まつり』を開催。今年も12月31日午後4時よりキッチンカーや縁日でにぎわい、除夜の鐘とともに新しい年を迎える。

歴史ある古刹

 開基、弘仁13年(822)と伝えられる最明寺の境内には、鎌倉時代の遺跡もあり、裏山の岩井山頂上からは御宿の海と町並みを一望できる。本堂には、『波の伊八』の獅子頭と象鼻の彫刻。平成2年(1990)に行われた本堂新築工事の際に、旧本堂の向拝の柱にはめ込まれた獅子頭と象鼻の彫刻を外したところ、『武志伊八郎信由』と墨書きされていたことから、波の伊八の作であることが判明した。旧本堂が建築された寛政10年(1798)頃の制作とみられる。
 本堂左手奥の洞窟『大日洞』は、鎌倉時代の武士の納骨・供養所の遺跡で、現在は大日如来と波乗り観音が祀られている。岩井山の中腹には建保5年(1217)開基の観音堂。ここでは毎月18日に護摩祈願が行われる。山頂には三峯神社が鎮座する。この場所には、時頼が歌に詠んだ『夕影の松』があった。さらに奥の木道を進むと展望台があり、ここでは日の出を拝むこともできる。
 週刊新潮の表紙絵で有名な谷内六郎は御宿ゆかりの画家で、2002年には、境内に『谷内六郎画伯記念碑』が建立された。六郎は、持病のぜんそく療養のため若い頃から度々御宿に滞在し、海岸を見下ろす最明寺境内でスケッチをしていた。昭和31年の週刊新潮創刊号の表紙絵は、御宿を描いたものだった。住職の松﨑馨田さんは、「境内では春はサクラ、夏はアジサイ、冬はスイセンを楽しんでいただけます。樹齢数百年を数える夫婦銀杏も季節ごとに表情を変えます。ぜひ散策にお越しください」と話している。

(左)大正時代の絵葉書。最明寺と、山頂には当時の「夕影の松」が見える

(右)岩井山中腹にある観音堂

eスポーツで地域おこし

 松﨑さんは、eスポーツによる地域おこしにも力を注いでいる。eスポーツとは、『エレクトロニック・スポーツ』の略称で、コンピューターゲームやビデオゲームを用いた対戦をスポーツ競技として捉えたものだ。2024年4月に、『地域振興』『シニア層のフレイル(心身の活力低下)予防』『世代間交流としてのeスポーツ活用』をコンセプトに、任意団体『EYE・ON』を設立し、主に町内の交流スペースなどで活動している。「eスポーツをすることで脳が活性化され、高齢者の認知症予防に効果が期待できるとのニュースを耳にしたことから、県内でも高齢化率の高い御宿町で何かできないかと考えたことがきっかけです」と、松﨑さん。2024年5月には『御宿eスポーツ大会in御宿美味いものフェス』、2025年5月には『御宿ぷよテト祭り』と、eスポーツイベントを開催し、県内外からプロ選手を含む多くの参加者が集まった。「子どもの頃からゲームに馴染み、現在も私自身がプレーヤーとして業界に関わっているご縁で、プロ選手や様々な団体と繋がり、イベントにご協力いただくことができました」
 松﨑さんは更に、高齢者向けや小中学生向けのeスポーツ体験会など、幅広い世代が集う場を提供している。ゲームを通じて『健康』と『交流』を応援する『健康ゲーム指導士』(日本アクティビティ協会)の資格も取得した。高齢者向けの『太鼓の達人』体験会では、軽い準備体操と、実際のプレーに役立つリズム体操を行う工夫で、ルールをスムーズに理解できるようになる。参加者からは、「若者のものだと思っていたが、やってみると楽しい」「手を動かすので、思っていたより運動になった」との感想が寄せられている。松﨑さんは、「eスポーツは、お年寄りも子どもも一緒になって遊べるユニバーサルスポーツです。どの世代も安心して楽しめるように、ぷよぷよやテトリスといったパズルゲーム、太鼓の達人などのリズムゲームを中心に活動を継続していく予定です」と説明する。

展望台からの景色

御宿年越まつり

 御宿年越まつりは『御宿うみそらDAY実行委員会』主催で、12月31日午後4時より午前0時頃まで、最明寺駐車場にてにぎやかに開催される。出店は、『東南風の製造場』『みちくさカフェ』『アソビヤ』『TGB FOOD TRUCK』の予定。境内のテントには、パズルゲーム・ぷよぷよの体験コーナーが設けられる。荒天時は中止の場合も。
 除夜の鐘は午後11時半から、天候に関わらず実施。希望者は全員つくことが可能。0時からは本堂にて、大般若経の転読会が行われる。御守りは各種取り揃えられ、ペット用や自転車用も好評。微笑みだるまは、最明寺のオリジナル。笑った目のままでも良し、願いかなって黒目を入れるのも良しとのこと。駐車場は、近隣の藤井商店の駐車場を利用。詳しくはホームページか、問合せを。
 
問合せ:最明寺
夷隅郡御宿町須賀668
Tel.0470・68・2881

・最明寺ホームページ
https://onjuku-saimyoji.jp/

・EYE・ONのページ
https://x.com/EYE_ONjuku

最明寺のオリジナル・微笑みだるま