祝!35周年 市原茶道会茶会で抹茶に親しむ
- 2013/6/14
- 市原版

祝!35周年
市原茶道会茶会で抹茶に親しむ
5月19日(日)、市原市市民会館で行われた茶会には華やかな着物姿の女性達が並んでいた。主催の市原茶道会が今年で35周年という節目を迎えたこともあり、足を運ぶ人の多さにロビーは常に賑やかな空気だった。
同茶会は茶道を愛する会員相互の親睦と普及を目的に表千家、江戸千家、備前御家流によって 和交会として昭和54年に発足され、当初は公民館活動が主とされた。その後は会則を作り役員を選出し、現在は表千家、裏千家、大日本茶道学会から10名の師を会員に成り立っている。つまり、市原茶道会は様々な流派が集う場所で、今回の茶会は例年2回催されるうちの春の会だった。
会長の表千家、瀧澤宗寿さんが体調不良のため、副会長である大日本茶道学会の鵜澤敏子さん(茶名 敏仙さん72歳)の案内で部屋を訪れる。「第1回目の収益13万円から始まり、34年あまり福祉に寄付し続けている。市原をさらに住みやすい環境にすること、いきいきとみんなが主役になれる市にしたい」と鵜澤さんは話す。一見、厳かで足を踏み込むことをためらう人も多い世界かもしれない。だが、清廉な雰囲気を持つ和室に、季節に合わせて整えられた掛け軸、花、香合。無意識にしゃんと背筋が伸びてしまうような心地よさは、一度経験するとはまってしまう魅力を持つ。
「この茶会では3つの流派がひとつずつの部屋でもてなしている。部屋の掛け軸や花など色合いはすべて被ることのないよう事前にこと細かく打ち合わせをしているので違いを見るのも趣がある。みなさん、花器や軸の句、茶碗をとても深く勉強されています」と鵜澤さんが続ける。部屋に入るとそれぞれの流派の色づきが伝わってくる。華やかな黄色の茶入れが金の屏風によく栄える部屋。厳かな和室に着物の男性亭主がするりと滑るように歩く部屋。赤いヤマシャクヤクの花が軸の下で可憐に咲いている部屋。次はどんな部屋だろうと考えるだけで胸が躍り、扉が開くのを心待ちにする。
ある部屋では、「正座は少し足が痺れる時もあるけど、立礼という椅子に座った状態で茶席を持つこともできる。足が悪いので嬉しいです」と話す相客も。なにより嬉しいのは、各々で出てくる練り菓子のおいしいこと! もともと薄茶とともに食べることもあり、味覚はもとより美的鑑賞にも堪えることを期待され発達した食品。紫のもちもちとした皮に餡の詰まったもの、透き通った緑とこし餡の2層タイプの創作羊羹、落とし文という名前がしっくりと馴染むこし餡が葉に包まれている形のもの。口に広がった甘みを、薄茶でさっぱりと喉に流し込む。正客の挨拶、そして火鉢や菓子についての会話がふっと息をついた時にその場を和やかな空気にさせる。
「市原茶道会の主な活動は年2回のチャリティーを目的とした茶道会。ほとんどのみなさんは普段はそれぞれの流派で個人的な活動をしている。私もボランティアで地域の学校、幼稚園、または公民館で茶道を教えています」と鵜澤さん。結成当初からの会員で、お茶に触れたのは20歳の時。企業に勤めていた鵜澤さんは、会社の斡旋で初めは渋々やるお稽古事だった。元来活発な性格であり、登山やスキーなどアクティブなスポーツに勤しむことの方が好きだった。
だが、気づいてみれば数十年、お茶の世界から離れることはなかったという。「アクティブな活動と清楚な和の世界、正反対と思える趣味がかえって面白かったのかもしれない。気分を一気に切り替えることで張り合いもあったに違いない。会員として茶道会に入会した30歳後半の時は、多少の知識はあったけれど恥をかくこともたくさんあった。でも今は、それも必要だったと思える。今の市原茶道会は高齢化が進み、次世代の担い手達がほとんどいない。興味のある人はぜひお茶を一緒に楽しみませんか」と続け、次々と出会う関係者に笑顔を向ける。同茶会は今年、12月第3日曜日に2回目の席が設けられる。日常から少し離れた和の世界に触れてみるのもいいかもしれない。
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