夢は仲間を募って外房の自然を描き記録すること

栗原大輔さん

 細密画家、エッセイスト、声楽家、またコンサート・プロデューサーでもある栗原大輔さん(44)は、かつて、いすみ鉄道の国吉駅観光駅長を務めていたことでも知られている。
 栗原さんは中学生1年生の時に聴いたクラッシックに影響を受け、ヴァイオリンを習うも怪我で断念。3年生になり、当時住んでいた埼玉県狭山市の『第九を歌う会』に参加し、指揮者の秋山和慶さんに「君は歌でいきなさい」と言われ、国立音楽大学の夏期講習を受けた。しかし大学には進学せず、「色々な所に行けるから」と冨士急行の観光バスの車掌になる。
 3年後、夏期講習で知り合いになった村上敏明さん(現藤原歌劇団員)が勧めるオペラのオーディションを受け、見事に合格。その後5年間、国立オペラカンパニーの専属テノール歌手として多くの舞台に立ったが、フィレンツェ五月音楽祭歌劇場初来日公演、ジュゼッペ・ヴェルディ作曲:歌劇「アイーダ」(神奈川県民ホール/NHKホール)の出演を最後にオペラ歌手を廃業。
 その後、以前より興味のあった絵について独学で勉強。地元の祭りで子ども向けに作品を販売したところ、大人が興味を示し、すぐに完売したこともあり、絵を仕事にしてゆこうと決意した。
 細密画とは標本画のように、特徴を細密に観察しながら細部まで描く技法。栗原さんは自分が描く細密画を精密画として発表。1998年から正式に精密画家として活動している。
 風景や植物も描くが、ほとんどは昭和に運行していたボンネットバスや電車などの乗り物。題材によって画材は変わってくるが、乗り物の精密画を描くにあたり、どういった画材がいいのか相談した専門店の店長の勧めで、ドイツのファーバーカステル社の画材を使っている。1761年創業の同社は最初に六角鉛筆を開発した老舗で、色鉛筆の色が120色もあるという。後に栗原さんは実力が認められ、メーカーから新製品を含めた画材の提供を受けられる作家となった。
「12年前、小金井市にある都立江戸東京たてもの園に70点の絵を展示したところ、一般の方はもちろん、出版社、報道、絵本の編集社などからの反響もありました。レトロな乗り物の絵は、マニアだけではなく、女性にも好評でした」と栗原さん。
 前述の観光駅長になったのは、いすみ鉄道の社長から電車の絵の依頼を受けたのがきっかけ。週末、駅長の制服を着用し、イベントなどに参加。昭和の風景と駅長の制服姿が非常にマッチしており、駅長に会いに国吉駅を訪れる客もいたと言う。
「今は白子町の自宅兼スタジオで精密画を教えていますが、声楽や発声教室も開いています。最近の活動としては今月22日に勝浦市芸術文化センター・キュステで行われた『テノール歌手・村上敏明と親子と楽しむ!!市民で創るコンサート』にて、プロデューサーとして、また発声や合唱指導を務めました。このコンサートは長い付き合いになった村上がテノール歌手として参加しますし、地元のソプラノ歌手もゲストとして出演してくれました。将来は『蝶々婦人』を海が近いこの会場でやってみたいと思います」
 スケジュール表に予定が入ってないときは移動日というくらい、多忙を極めているが、今後は、外房の動植物を精密画として残す活動をしたいという。「全くの趣味の集まりですが、絵を描くための標本を探したりすることも含め、楽しい活動になりそうです。ひとりでは何年もかかってしまうので、同じ気持ちを持つ人と協同しながら活動したいと思います。そのためにも絵画教室の中で精密画を描ける人材を養成することが必須だと思っています」
 栗原さんの絵は、東京の浅草セントラルホテル内にある栗原大輔精密画美術館、御宿町にあるファームリゾート鶏卵牧場内にあるレトロぶーぶー館、勝浦市のダイニングバーに常設展示されており、全国各所で展示会なども行っている。
 音楽の方では、11月5日、勝浦市芸術文化センター・キュステにてアジア人初のウィーン国立劇場メンバー、アンネット・一恵・ストゥルナートさんとの共演も予定されている。

問合せ 栗原大輔さん
HP http://kuriharaminiaturea.wix.com/99ri-genga-home


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