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3Dのように原画から浮き出て見える花々をご覧あれ~千葉県立中央博物館~【千葉市】
- 2024/11/8
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- 内房
【写真】千葉県立中央博物館・御巫さん
11月24日(日)まで、千葉県立中央博物館で開催されている『二口善雄 植物画展』。二口善雄氏(1990~1997)は日本の植物画家の草分けと言われる存在。今回の植物画展では同館が所蔵する水彩画約3200点の作品のうち、バラや果物、野菜、理科図集を中心に約200点が紹介されている。
今でこそ、ボタニカルアートとして植物画を楽しむ人も多いだろう。だが、戦前戦後の時代、植物画家は専門職の一つだった。石川県金沢市で生まれた二口氏は、現東京藝術大学への進学を機に上京。当時、小石川植物園にあった現在の東京大学植物学教室に勤務した。植物画は一般的な絵画と異なり、葉脈一本まで詳細に描く。茎の長さや葉の丸さに至るまで、定規やコンパスを用いて実物大となる。千葉県立中央博物館・展示課長の御巫(みかなぎ)由紀さんは、「二口氏の作品の特徴は、水彩画なのに油絵のように浮き出る技法で、同じスタイルで描かれる植物画家さんは現存しません。また一枚の絵に数回にわたって描いた日付が記録されているのも、30代から晩年まで変わらない特徴です」と、楽しそうに話す。
御巫さんは、著書に『野ばらハンドブック』を持つほどのバラ研究家であり、世界バラ会連合が主催する第19回世界大会アデレード2022で優秀書籍賞を受賞している。二口氏が描いたバラはもちろん、他作物に至るまで躍動感の溢れる作品を絶賛する。「植物画は、絵を見た時に名前が言えるよう実物そっくりに描く必要があります。普通の絵と違う特徴に、一枚の紙の中で種子から成長していく様子が表現されるものも。ナスの葉の虫食いの穴まで忠実に再現されているんです」と作品に目を向け、さらに「植物画をやっている方、そして幼稚園や学校で絵を描いている子どもたちにも、プロがここまで絵で表現できることを知って欲しい。ぜひ、離れたり近づいたりして見て、楽しんでください」と続けた。
二口氏は昭和24、25年に文部省から発行された理科図集の作画を担当していて、関連する原画も展示中。同展では、作画と共に同種の花々の写真が並べられている。どれほど植物画が本物そっくりか見比べてみると面白いだろう。会期中の16日、23日(土)の11時と14時半からは、各回30分、学芸員によるミュージアムトークが行われるほか、23日は体験イベント『花のぬり絵』も開催予定。いずれも事前申込不要。芸術の秋を、植物画で楽しんでみてはいかが。
問合せ:千葉県立中央博物館
千葉市中央区青葉町955の2
Tel.043・265・3111
・休館日:毎週月曜日
・入場料:一般300円、高校生・大学生150円
中学生以下・65歳以上・障がい者手帳をお持ちの方及び介護者1名は無料