ふるさとビジター館 自然探訪~フクロウの仲間 アオバズク~

 初夏のこの時期、夕暮れから夜にかけて「ホッホウ、ホッホウ」と繰り返す声を耳にすることがある。アオバズクの鳴き声だ。木の樹洞を巣にするので、大木のある森、公園、神社・仏閣から聞こえてくることが多い。

 全長29㎝、頭部、背中、翼と上面は黒褐色だが、胸から腹にかけては白色で、その上に黒褐色の縦斑が幾筋かある。フクロウの仲間で夜行性、日中は暗い林内や樹洞で休息し、夜間に活動する。街灯に集まる主食の昆虫類を、採餌している姿を見ることもある。

 フクロウとの違いは鳴き声と、小柄で目が黄色いことである。東南アジア、ニューギニア方面から繁殖のため全国に渡って来る夏鳥で、房総丘陵でも、かつては幾例もの個体が観察された。近年は急激に数を減らしていると言われ、千葉県レッドリストでも「最重要保護生物」に指定されている。東南アジアなどの越冬地の開発、農薬による昆虫の減少、営巣に適した樹洞のある大木の減少などが原因とされる。今や鎮守の森のある神社・仏閣でかろうじて声を聞ける程度になってしまった。多様な保護活動が望まれる。

 夕涼みがてらの散歩で「ホッホウ、ホッホウ」の声を聞いたら、街灯近くを探して見よう。電柱や木の枝に目の真ん丸な、アオバズクを見つけられるかもしれない。その時は、そっと見守ってあげましょう。 (ナチュラリストネット/岡嘉弘)

 

◇ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。 Tel.080・5183・9684(野坂)

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