まるでレース! 繊細で清楚なペーパーアート

 白い半透明の厚手のペーパーが、緻密で美しいレースと見間違うほどの模様となる。オランダから広まった『パーチメントクラフト』は、1990年代前半に日本に入ってきたという、比較的新しいクラフトだ。パーチメントとは、もともと聖書の写本などに使われていた『羊皮紙』を意味し、表紙に浮き彫り模様などを入れていたのが発祥とされる。のちにその技法が南米に伝わり、材料が厚手の紙へと変わり、さらにそれがオランダへと伝わって、現在のペーパークラフトとして確立されたという。
 君塚に住む中島弘子さん(51)は、自宅で数多くの作品を制作し、おゆみ野のスクールで講師を担当する。「12年前、東京の友人の作品を見せてもらい、レースと思ったら紙だと言われ、その美しさにたちまち虜に。それまで粘土細工や刺繍、ビーズなど、いろいろ趣味でしていましたが、それ以来、パーチメントしか作らなくなりました」。専用紙は厚手のトレーシングペーパーのよう。そこに図案をトレースし、何種類もの道具と彩色で、浮き彫り、穴開け、ペイント、カットの技法を組み合わせ、デザインを描き出す。絵画的なものからレース状の作品、立体的な飾りや実用的なものまで、様々な作品ができる。しおりやぽち袋、箸置き、ギフト用ボックス、コサージュやバレッタなど、アイデア次第だ。 
 中島さんは3年前、知人に頼まれて、出産祝いの記念品に小さなベビーシューズを作った。それから度々依頼を受けるようになったが、なかなか自分の作品を販売する気にはなれないという。「でき上がった作品は本当に繊細でキレイで、自分で作ったものでも手放したくなくて。細かい手作業の蓄積で時間もかかりますし、愛着もあって、欲しいと言われてもどうしようって思うんです」。家事の合間のちょっとした時間でも作業に当て、街を歩いていても、図案になりそうなデザインを探してしまう。細かい作業もまったく飽きず、むしろ時間がもったいなくて、テレビも見なくなった。
「今年の2月、入院して脇の下を手術したんですが、その時は『手が動かなくなったらパーチメントができない!』って焦ってました。本当はそれどころじゃなかったはずなんですけどね」と笑う。中島さんは2年に3回程度、東京での展示会などに出品しているが、今後は地域での小さな展示会開催を考えている。「多くの人に実物に触れてもらって、知ってもらう機会を作りたい」。これからも熱心な制作活動が続きそうだ。

問合せ 中島さん
TEL 0436・22・3646


Warning: Attempt to read property "show_author" on bool in /home/clshop/cl-shop.com/public_html/wp-content/themes/opinion_190122/single.php on line 84

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  2.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  3.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  4.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  5. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  6.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  7. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る