CITYLIFE 地域情報紙シティライフ ふるさとビジター館 自然探訪~二つの姿を持つアカツブタケ~ 2026.10.08 夏に沢沿いを歩いていると、沢に落ちた朽ち木に、ごく小さな待ち針のようなものがびっしりと生えているのを見つけました。ルーペでのぞくと、先端が丸く、まるで小さなキノコが林立しているようです。 これは何なのか気になり、写真を撮って専門家の先生に尋ねました。すると、それはアカツブタケの仲間が無性生殖を行う段階で作る、胞子をつくる器官だと教えていただきました。菌類には無性生殖と有性生殖という二つの繁殖のしかたがあり、この姿はその一つの段階なのです。さらに、「その後には、有性生殖を行う赤い子嚢殻(しのうかく・胞子をつくる小さな実のような器官)が現れるはずです」と聞き、この目で確かめたくなりました。 一か月後、同じ場所を訪れると、朽ち木には数ミリの赤い粒々が一面に現れていました。まさにアカツブタケです。一つの菌が姿を変えながら、無性生殖と有性生殖という二つの方法で命をつないでいく生活史を目の当たりにし、自然の巧みな仕組みに深く感動しました。何気なく見過ごしてしまいそうな小さなものにも、長い時間をかけて受け継がれてきた命の営みが秘められていることを実感した出来事でした。 (ナチュラリストネット/加藤恵美子) ◇ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。 ◇加藤恵美子ブログ 千葉県の自然見~つけた♪ https://emikocho.blog.fc2.com/