CITYLIFE 地域情報紙シティライフ 自然美とファンタジーが織りなす伴田ワールドへようこそ!映画最新作『赤い自転車』11月より公開~映画監督 伴田 良輔 さん~【長柄町】 2026.10.29 【写真】伴田良輔さん 長柄町在住の伴田良輔さんが監督・脚本の映画『赤い自転車』が11月より公開される。伴田さんは、作家、写真家、版画家、美術家といくつもの顔を持つ総合芸術家。長編映画第1作『森へ island』と第2作『道 パッサカリア』は、海外の映画祭で多くの賞を受賞した。『赤い自転車』は房総三部作をうたう3作目。大多喜町の元郵便局の建物を中心に、四季折々の房総の自然が撮影舞台となっている。 房総の里山から世界とつながる 伴田さんは京都丹後の大江山の麓で生まれ育った。山深く、最強の鬼と称される『酒呑童子』の伝説が息づく土地がふる里だ。芸術や、科学・哲学など学術にも造詣が深く、大学時代に映画評論でライターとしてデビューして以来、多くの分野での著作、翻訳、芸術作品を世に送り出してきた。猫好きとしても有名で、雑誌『猫びより』では猫がもてなしてくれる宿を全国に訪ね歩き、フォトエッセイとして連載。美術家としては、『有月』(UGETSU)の名で活動し、独自技法による版画や、大型の屏風・襖絵などを国内外で発表している。 2020年、文化庁の『ARTS for thefuture!』(コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業、通称:AFF)の助成を受け、念願だった長編映画製作が実現した。2022年発表の『森へ island』は、ルイス・ブニュエル記念映画賞最優秀長編賞など多数の映画賞を受賞。続いて文化庁の『AFF2』により、2023年『道 パッサカリア』を発表し、ヨーロピアンシネマトグラフィー映画賞受賞など、再び高い評価を得た。2024年には、伴田さんがアメリカの映画雑誌『FILMMAKERLIFE』の『2024年トップクリエイター』の一人に選出され、表紙を飾る。作品は『人間の視野を超越した、瞑想的で魔術的な映画』と評された。 映画『森へ island』一場面、『有月』の作品 伴田さんは、長柄へ移住して約20年。「房総で車を走らせると、里山が次々と現れる。無尽蔵に時間が止まったかのような里山を見ると豊かだなと感じる。故郷によく似ている」。『伴田ツーリズム』と称して、里山の津々浦々で『風景』を探して回る。映画には、この地域を知る人に馴染みの場所や、意識せずとも脳裏に刻まれた風景がたくさん登場する。「30代の頃はよく世界を見に出かけて行った。今はここにいる。すぐ隣で物語が生まれていて、それがおもしろい。そういうところから映画をつくる。妄想したり、深く掘り下げたりしていると、世界中の何かとつながると思う」と、話す。 原風景から生まれる物語 『赤い自転車』は、伴田さんが敬愛するチェコの作家、カレル・チャペックの童話『郵便屋さんの話』を原案に、昭和の日本が舞台となっている。『郵便局にある日、宛名も差出人もない真っ白な郵便物が届く。郵便配達員は開けてみることができず困っていると、昼寝の途中に妖精が出てきて手紙の内容がわかり…』と話が展開していく。郵便局として撮影をした建物は、大多喜町にある築90年以上にもなる洋風建築の元郵便局で、伴田さんの「イメージとぴったりだった」。主役の郵便配達員は、現在その建物を改装して夫妻で花屋を営む河石良太郎さん。初めて顔を合わせた時、「チャペックのイラストの登場人物にそっくり」で、伴田さんがその場でスカウトをした。「役者ではなく、普通の生活をしている普通の方のたたずまいを映画に生かしたい」というのが常なる思いだ。伴田さんの『ロケハン』は『人物ハンティング』でもあり、人だけでなく『ハント』した動物たちも映画に登場する。 映画『赤い自転車』一場面 今回の製作資金の一部はクラウドファンディングで募り、多くの支援が寄せられた。撮影は2年に渡り、季節を追って房総の自然美が映し出される。セリフは極力そぎ落とし、流れる音楽と訪れる静寂が案内人のように鑑賞者を導く。「自然も主役」と、伴田さんは明言する。ストップモーション撮影による妖精に見立てたパペットの劇中劇もみどころのひとつだ。「ファンタジーを通して、日本人にこだわらず、世界中の民族が持つそれぞれ固有のものと、境目なく人間として共有しているものの両方を映画に入れた」と語る。「若いころからいろいろなことをやってきた全てのことが積み重なり、今につながる。やっと映画監督と名乗れるのがうれしい。今の仕事が楽しくて仕方がない」。長柄に構える『倉庫ギャラリー』には、映画に使った大型の屏風作品や襖絵、陶、鉄の作品などを収蔵、『Gallery R』には、初期の版画作品やオブジェ、有月名義で作ったオリジナルの服などを展示。双方とも、美術館として不定期に公開している。『赤い自転車』は、各所で順次公開予定。映画、ギャラリー見学予約など詳しくは、HPか問合せを。 問合せ:伴田さん Tel.080・3722・5175 HP:https://www.ryosukehanda.com ・倉庫ギャラリー 長柄町桜谷274の3 ・Gallery R 長柄町上野471の12 ●『赤い自転車』上映会 ・映画館『Stranger』(東京都墨田区菊川3の7の1)にてお披露目上映会 11/11㈬ 18時~20時 監督と出演者のトークショーあり ・千葉市生涯学習センター小ホール(千葉市中央区弁天3の7の7) 11/1㈰・11/14㈯ 16時~18時 料金:1800円(チケット問合せ・伴田さんまで) 両日監督挨拶あり 赤い自転車ポスター