房総往来 あれから40年…

山里 吾郎

 漫談家の綾小路きみまろさんを書くわけではない。40年というちょっと半端な歴史が、取材記者だった自分の足跡にオーバーラップしてくる。そんな想いもあって開館40周年の特別企画展を開催中の千葉県立美術館(千葉市中央港)を訪ねた▼開館は1974(昭和49)年。当時、千葉市の臨海部は大気汚染をめぐる公害問題が深刻化、「文化の拠点を建築する場所としていかがなものか」。立地をめぐって反対意見も強かった▼71年に入社、社会部の中で教育庁と併せ公害問題も担当していた新人記者は立地論議を何回か取り上げた。事実、一度は千葉公園に内定、体育館移転で頓挫した後も農林省畜産試験場跡地(現青葉の森公園)などが候補に挙がった。しかし国との調整やコスト面などを考慮、最後は現在地に落ち着いた▼開館後も埋立地特有のアクセスの悪さなど運営は決して順風満帆ではなかった。千葉県ゆかりの作家など特別展は話題を集めることも多かったが常設の集客では苦戦した。もちろん明治期を代表する洋画家・浅井忠の作品収蔵など全国に誇れる業績も残している▼今回の40周年特別展(3月22日まで)では日本画家の巨匠・平山郁夫を取り上げている。仏教伝来の軌跡を求めて極寒のヒマラヤ、酷暑のタクラマカン砂漠など長い年月をかけ、シルクロードを旅した平山。生涯、現場主義を貫いたその作品群は壮大なスケールと重厚さで観る人に迫る▼さらに県立美術館は耐震工事のため2年間、休館していた。こうした美術ファンの渇望もあって再開館の出足は盛況だ。


Warning: Attempt to read property "show_author" on bool in /home/clshop/cl-shop.com/public_html/wp-content/themes/opinion_190122/single.php on line 84

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  2.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  3.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  4.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  5.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  6. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  7.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る