全国レベルの試合をつかさどる1級審判員 清水 勇人さん

サッカーの魅力を引き出したい

全国レベルの試合をつかさどる1級審判員
清水 勇人さん

サッカーの試合に審判員は欠くことができない。審判員は競技規則にのっとり、公正かつ正しく判定し、選手たちが安全にプレーできるようゲームをコントロールする。日本各地で行われるあらゆる試合を担当できるのは日本サッカー協会認定の1級審判の資格をもつ者だけ。国際試合、Jリーグの審判はさらに厳選される。

1級保有者は千葉県で7人、市原市では光風台在住の清水勇人さん(29)のみだ。審判員に必要な資質は正しい判定のための知識、体力、技術。それ以上に大切なのは人間性だという。清水さんは「この人なら任せられると選手に信頼してもらうことが大事。コミュニケーションをよくとり、納得してもらえるようにゲームを運ぶのが理想」と話した。

清水さんが市町村レベルの試合を判定する4級審判の資格を取ったのは高3のとき。かつて所属した少年サッカーチーム光風台FCの監督に練習を手伝ってほしいと頼まれたから。試合運営の役に立てばと軽い気持ちだった。社会人のサッカーチームでプレーしながら、23歳で県大会などにかかわる3級を取得したのも「公認審判のワッペンが好きな青色だったから」。ちなみに2級は銀色、1級は金色。試合に出てやりがいを感じるようになったころ、千葉県サッカー協会審判委員から2級のテストを受けるように薦められた。職場の理解はあったものの沿岸企業の工場で働く清水さんは「審査のため休日は積極的に試合を引き受け、仕事の合間にトレーニング。自分としても頑張った」と振り返る。県の枠を超えて関東、東海、北陸など地域の大会を担当できる2級は、実戦経験を多く積み、県サッカー協会の推薦を受け、審査資格を得なければならないからだ。25歳で2級審判に合格すると翌年、地域サッカー協会の審判トレーニングセンターへ入ることに。関東で選ばれた7人だけが参加できる1級審判への近道だ。1年間、講習を受けたあと、トップレベルの審判候補を養成する日本サッカー協会レフェリーカレッジに推薦された。月2回週末の合宿と年4回の集中合宿に参加。毎年4人から6人しか採用しない少数精鋭の同カレッジで技術、体力トレーニングのほか、運動生理学、栄養学などを学び、全国各地の大会を経験した。昨年みごと1級に合格したけれどもゴールではない。その後も試合ごとに評価を受け、J1、J2、JFLの各主審、副審と担当分けされ、2級への降格もあるという厳しさだ。1試合で走る距離は選手よりも多いこともある。試合中のエネルギー切れに備え、試合3日前から炭水化物を含む食物を多く食べる。終了後に油物を控えるのは疲労回復のため。普段から週に数回7、8キロ走り込み、時々、中央武道館のジムでフォームをチェック。心拍数を計る機器を身に付け、トレーニング後はデータを日本サッカー協会に報告しなければならない。求められるのは平常心を保ち、自分を律すること。仕事以外の時間はほとんどサッカーに費やしている。

清水さんが本格的にサッカーをはじめたのは小学4年生のとき。Jリーグができた年だ。「はじめてプロの試合を見たのは市原臨海競技場」。双葉中学校、市原高校でもサッカー部。「練習はきつかったけれど、辞めようと思ったことはないほど好き。今でも楽しくてしかたない」と笑顔。もし子どもたちが審判を目指すなら「選手としてサッカーをよく知ってほしい。審判は選手の心と試合展開を理解する必要があるから」とのこと。

昨年末、初めて全国大会で主審を務めた。「まだ、ピカピカの1年生で無我夢中。体力、技術を駆使して、よりよいポジションで判定することで精一杯」という清水さん。その全国高校サッカー選手権は各県代表が出場するためメディアの注目度も高く緊張した。テレビ中継が入り、両校の地元応援団も詰め掛けた場内は独特の雰囲気。PK戦の末、敗れて涙する高校生を見て「選手がプレーに集中できるようベストを尽くし、審判として成長したい」と心から思った。今年はJFLで主審を担う。

「選手やチームが魅力を発揮できるゲームになるよう心がけている。さらに研鑽してJ1や国際試合の主審を目指したい」と熱意を語る清水さん。落ち着いてみえるのは男ばかり5人兄弟の長男だからだろうか。「性格は大雑把。高校時代は親に心配をかけるようなこともした」とか。

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