走る、投げる、跳ぶ スポーツの基礎力を高める

走る、投げる、跳ぶ スポーツの基礎力を高める
SKコスモス フミハンドボールスクール

 ダイナミックでスピーディな試合展開が魅力のハンドボール。コートとゴールポストはフットサルと同じ大きさ。6人のフィールドプレーヤーと1人のゴールキーパーで構成される1チーム7人制。皮のボールはほどよく弾力があり、片手で扱える。バスケットに似たパスやドリブルでボールを運び、サッカーのようにゴールを決め得点を競う。フェイントをかけ相手の攻撃をかわしたり、ジャンプシュートをしたりと多彩な動きのある競技。
「走る、投げる、跳ぶとスポーツの基本的な3要素を持ち合わせているので成長過程にある小学生には最適。男女学年を問わず一緒にプレーできます」と話したのは『SKコスモス フミハンドボールスクール』を主宰する折本典代さん。旧姓は加藤さん。30年前に本場ヨーロッパで初めてプレーした日本人女子選手だった。関東学生選抜の海外遠征でスカウトされ、ドイツプロリーグの名門クラブ『TSVアウエルバッハ』に入団。コートに立つと「ふみよ」コールが起きるほど注目された。3年間活躍したあと、トレーナーの資格を取って帰国。結婚して家庭に入り、2男1女をもうけた。2007年、折本さんが勤務する三造興産(株)が全面的にバックアップし、小学生クラブチームを立ち上げ、現在に至る。今もスポーツ専門誌の用語辞典に名前が載る名選手であるが「まずルールと楽しさを知ってもらうことがスタート」と飾り気のない笑顔で語る。
 週に2回、市原市の三井造船辰巳台運動場にある専用コートに集まるのは小学1年生から6年生までの男女30人弱。「こんにちは」と元気よく挨拶し、早目に来た子どもたちがスクール開始時間を待ちきれずにボールを手にコートへ駆け出した。保護者との打ち合わせに忙しそうな折本さんのかわりに、午後4時半になると6年生のキャプテンが自発的に笛を吹き、メンバーを集合させる。円陣を組んで気合を入れ気持ちをひとつにしてから準備体操。折本さんが加わると、ランニングやダッシュ、パスの練習を始めた。3人組のパス回しでは同級生に早い球を送る6年生も年下のメンバーにはゆるいボールを投げる。
 年齢差を越え、のびのびと走り回る子どもたちに折本さんは「対外試合に行くと個性的なチームですねとよく言われます」と目を細めた。後半は3組に分かれて順番に練習試合。低学年だけのチームも高学年2チームと対等に戦う。声をかけあってパス、ドリブルと連携プレー。果敢な下級生が上級生に挑んでゴールエリア間近からシュートを投げると、ゴールキーパーがカット。低学年チームはすぐに走り戻りディフェンスラインへ。審判をする折本さんが「ナイスパス」、「いいコミュニケーション」と励ます。息を弾ませてベンチに戻ってきた低学年チームは待ち時間に各自のポジションを話し合うためマジックボードに図を描く。力の差がある相手と全力で対戦することで、横のつながりも強まる。2年生の男の子が「1人が攻め、ディフェンスを引きつけ、空いたところを狙うのが作戦だよ」と楽しそうに言った。
「思い切り体を使い、チームプレーを学んで欲しい。他のスポーツもひと通り経験させたけれど本人たちはこの競技に夢中」と話したのは6年と5年の兄弟、1年の妹を参加させる母親。卒業式を終えたばかりの6年生の男子にハンドボールのカッコいいところを聞くと「シュートを決めたとき」と即座に答え、「勝つと嬉しい。親友もたくさん出来るよね」と昨年、千葉県小学生新人ハンドボール大会で準優勝をした仲間たちに同意を求めた。中学生になったらそれぞれバドミントン部、野球部、サッカー部などに入るそうだ。
 折本さんは「市内の中学校にハンドボール部ができるといいですね。高校へとつながりますから」と期待する。たとえ同スクールで中学生クラブチームを作っても、部活なら何度でも参加できる公式試合に年2回しか出られないという制約があるからだ。今後、ハンドボールで培った身体能力とチームメイトとの絆を生かして、卒業生たちがどのように成長していくのかは未知数。「将来オリンピックに出たい」と夢を持つメンバーもいるらしい。しかし、「オリンピックに出場できるのは12カ国。昨年、日本の世界順位は女子13位、男子は16位でした」と折本さんは少し残念そう。今年、スクールではじめて指導した小学生たちが中学3年生になった。

問合せ 三造興産(株)内 
TEL 0436・76・7655

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