小湊ディーゼル、自然の風景と共に
- 2013/12/20
- 市原版

小湊ディーゼル、自然の風景と共に
小湊鐵道の車窓から見えるのはどこか懐かしく感じるのどかな風景。そこには四季折々の自然が手に触れるほど近くに、そして遠くに広がっている。列車が停まる無人駅舎は大正時代からの木造建築。古いものを維持するのは費用がかさむが、金額には代えられない価値があると小湊鐵道株式會社取締役社長、石川晋平さん(41)は言う。
養老渓谷にあるアートハウスあそうばらの谷で12月半ばまで『ヒグラシユウイチ 記憶/Memory』展が開催された。小湊鐵道の駅舎にはヒグラシさんの石の彫刻が納められている。11月16日、ヒグラシさんの作品解説後、石川さんによる『駅舎ものがたり』と題したギャラリートークが行われた。設立当初の各駅舎の写真や設計図などのスライドを交えて小湊鐵道の歴史と現状、これからについて語った。「人はもともと自然の中にあるもの。手入れされた里山は人と自然が共存できる場所です。その周りには川の道、鐵道の道、車の道、人の道、時間軸としての道など様々な道があり、それらの交差点にあるのが駅。人々の交流の場であるという駅舎本来の役割を充実させたい」と話す。実際、里見駅には地元住民が始めた駅喫茶があり、他駅周辺にもギャラリーなどが存在していて人が集う場所となっている。
また、「10以上のボランティア団体が沿線周辺の草刈りや掃除をしてくれています。『勝手連』と称して小湊鐵道側に要求は一切してこない。ありがたいですね」と石川さん。11月24日から12月27日まで行われる上総牛久駅から養老渓谷駅間でのイルミネーションの飾り付けも地元の人々の手によるもの。他線では考えられない線路ギリギリのラインまでのライトアップは乗客の目を楽しませてくれる。
現在の現役車両は昭和36年から52年製の14台。平成に入ってからの利用者は6割減だという経営状態だが、大正6年に物資の運搬から始まり96年間走り続けている、地域が主役の地元に愛される鐵道。古き良きものを大切にしつつ前へ進む、その先にあるものは石川さんが目指す『懐かしい未来』だ。
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