書は心を表す
- 2014/2/7
- 市原版

袖ケ浦市に住む成田浩基さん(19)は生まれつき難病を患っている。知的、目、耳に障がいがあり言葉も話せないが状況を見て判断し周囲との関係を保っている。嬉しいと手を叩き、散歩に行きたい時は介護職員の服を引っ張る。
同市にある生活介護事業所『アトリエけやき』で絵や工作と並んで書に取り組んでいる。自分の思いや気持ちを筆で表現するのが書。作品は『心』、『月』などの字、顔、抽象的な線など様々だ。何を書くかは職員との呼吸も大事。母親のことを話した直後には『母』という文字を書いたことも。まさにその瞬間に彼の心の中に湧き出てきたものが作品となる。「気分が乗った時には勢いよく筆を動かします。作品が気に入らないと破ることもあります」と職員は話す。
母親、澄恵さんの10年来の師、飯高和子さんの導きで書を始めたのは8年前。昨秋に行われた第52回市原市美術展覧会の書部門で『ぼく!!』が秀作賞を受賞。作品を前に「あたたかい気持ちになるね」と話す来場者も多かった。「飯高先生と書に出会い、子の介護以外の世界が開け、子と共に生きる力を頂いて今に至っています」と話す澄恵さんは息子の成長記録を『HIRO君』と題し、書に綴り続けている。
娘と孫の支えになればと澄恵さんの母親、佐久間政子さんも5年前から書を始めた。「先生は浩基のことを書を通じて心から理解し、温かく接してくれています」。書は彼らの生きる支えとなっている。(礒川)
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