あなたの心を射止めたい 私たち本当は四重奏団です

ハートキャッチトリオ

室内楽は大人数のオーケストラと異なり、それぞれの個性を尊重しながらお互いの音程やリズムを合わせひとつの音楽を作る楽しさがある。「息を吸っただけで出だしが合う」、「盛り上がるところが一緒で気持ちがひとつになれる」と話す『ハートキャッチトリオ』のメンバー同士の相性は最高にいい。
 同トリオは市原市民に親しまれているアマチュアオーケストラ『市原フィルハーモニー管弦楽団』(常任指揮者小出英樹さん)から生まれた。同楽団は市原市民会館などで2年に3回ほど行う定期演奏会の間に友人や知人を招くカジュアルな室内楽演奏会を定期的に開いている。少人数での演奏は一人ひとりの技術が浮き彫りになるので、勉強になると約50人の団員たちは毎回熱心に取り組み、さまざまな組み合わせのユニットは20以上あるという。四重奏団『ハートキャッチ』はそのユニットの一つだ。ただ、チェロ担当の女性が12月に出産を控えているため一時的にトリオとなっている。
「市原フィルの室内楽演奏会は担当楽器を変えたり、普段できない曲に挑戦したりと遊ばせてもらえる」と楽しそうに話すのは同楽団に賛助出演する、ピアノ担当の戸田美紀さん(48)。都内の音楽高校の講師を務め、市内では音楽教室を開く。20年ほど前に夫の仕事のため市原市に転入、夫の勤務が都内に戻っても「人と自然に魅かれる」と市原市を離れられずにいる。メンバーのなかでは的確なアドバイスするお姉さん役。
「室内楽コンサートでリコーダーを吹いたこともある」と笑顔で話す釣井智子さん(34)はヴァイオリン担当。トリオの衣装も担当し、テーマに合わせ「今度はシックな感じで」とか「セクシー路線で」とアイデアを出す。3歳からヴァイオリンを習い始め、国分寺台小学校5年生のときから同楽団のメンバーとなり、現在はコンサートミストレス(オーケストラの演奏をまとめる第一ヴァイオリニスト)を務める。『コバケンとその仲間たちオーケストラ』に参加したのは5年前。東日本大震災復興応援コンサートと冠がついた後も東北から九州まで赴き演奏してきた。今年2月に男の子を出産、すぐに復帰し、6月に小出さんが指揮し、船橋を中心に活動する弥生室内管弦楽団の演奏会にも出演した。
 チェロを弾く実力者が市原フィルに入団したのをきっかけに、「ブラームス作曲の難曲『ピアノカルテット』にチャレンジしたい」と今のメンバーに声をかけたのはヴィオラ担当の吉田養子さん(44)。県立千葉女子高校のオーケストラ部でヴィオラを手にして以来弾き続け、今では同楽団の首席奏者。室内楽コンサートではいろいろなユニットを掛け持ちする。ムードメーカーで「一番研究熱心」と他の2人が認める存在。
 ブラームスの楽曲は重厚でひとつひとつの楽器が絡み合うような構成。メロディ、リズム、ハーモニーが各パート同列に分担されたり、重なったりして豊かな音を醸し出す。戸田さんが師事する、ドイツの音楽大学教授だったピアニストに全員でレッスンを見てもらい「和音が重厚なブラームスらしい音を出して」とアドバイスを受け、同曲の第一楽章を初めて披露したのは2010年の室内楽コンサート。「あなたの心をハートキャッチ」と決め台詞の入ったパフォーマンスで登場し、会場を大爆笑させたが、内心は「胃が痛くなるほど緊張していた」と吉田さんは話す。翌年以後は同曲の第三楽章、第四楽章を演奏。復帰が待たれるチェリストが戻る来年9月の室内楽演奏会では、本来のカルテットの形でシューマンのピアノ四重奏を響かせる予定だ。
 メンバーは普段からおしゃべりをしたり、ランチを楽しんだりと仲がいい。戸田さんはアロマテラピーが趣味なので「ハートキャッチのイメージの香りを作り、会場に振りまこうかと話したこともある」と笑う。吉田さんと釣井さんは共に「夫は楽団員」。「婚活している人はぜひ市原フィルへ」と吉田さんがジョークを飛ばすと「コンサート後の飲み会も楽しいですよ」とあとの2人も口を揃える。夢は「ピアノカルテットの全曲演奏コンサート」だ。
 12月の市原市役所でのロビーコンサートではクラッシックに馴染みのないお客様にも楽しんでもらいたいと年末にふさわしいクリスマスメドレーや映画音楽などを選曲中。「衣装は華やかな装いを考えている」と釣井さん。忙しい時間をやり繰りし、「あなたのその演奏が好き」などとお互いに褒め合い練習を進めているそうだ。

ロビーコンサート 
12月17日(水)12時15分から25分 市役所1階

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