房州、山歩きと水仙

 1月16日、戸田コミュニティセンター主催のバスツアー『南房総ハイキング』が行われ、42名が参加した。行き先は南房総市二部にある、とみやま水仙遊歩道と鋸南町の津森山。日本水仙が初めて栽培されたのは鋸南町保田地区だといわれている。
 インストラクターは鋸南町在住で、幼い頃から山を歩き続けてきた『千葉県山岳史研究会』会員の川﨑勝丸さんと彼の岳友である市原市在住の増田勝さん。
 同センターをバスで出発し、道の駅『富楽里とみやま』を経由して県道89号線沿いにある1時間ほどのコース、とみやま水仙遊歩道へ。すぐさま脇にちらほらと水仙が。甘く爽やかな香りを感じながら急な階段を上っていく。やや息切れしながら階段を上りきると、山間一面に広がった水仙畑を見下ろすことができた。が、白い花の数が寂しく感じる。「不安定な気候で今年はハズレですね。最盛期には辺り一面真っ白なのですが」とのこと。それでも下り坂にさしかかった辺りには両脇に水仙の花道が出来上がっていた。
 再びバスに乗り、津森山の登山道入り口付近で下車。山登りに備え、参加者は辺りに散らばっている古竹を杖代わりに調達し、準備万端。杉林を抜け山道を歩いて行くと、樹木の陰に馬頭観音など古くなった石碑がひっそりと佇んでいた。「古道があったことを示しています。房総の山を歩くと、昔の人々が生活に使っていた道を発見することができる。それらは時代の背景や昔の生活を知る手がかりとなる。車がなかった当時、生活の柱だった牛や馬を家族同様に思っていた証が馬頭観音に表れています」と川﨑さん。
 お弁当は正面に人骨山が見える斜面で。一説によると名前の由来は、60歳を過ぎるとここに捨てられたとの言い伝えから来ている。また、鬼が毎年若い娘を食らっていたという話もあり、麓の地区では約千年前から現在も、鬼の祟りを恐れ、節分時に「鬼は外」と言って豆を投げる風習はないのだそう。
 336mの津森山の頂上には金毘羅神社、木花開耶姫と御嶽大神の石碑が並んでいる。周囲の山々をぐるっと一望できる最高に見晴らしのいい場所だ。南西には富山、御殿山、大日山、北東には鹿野山、高宕山が見えた。山歩きの名人、川﨑さんは「書物には載っていない、低くて小さな山々には自ら足を運び、石碑などから名前を見つけます。房州の古道をもっと皆さんに知ってほしい」と話した。最後は麓の棚田付近で待ちに待った水仙狩り。毎年1月1日~1月20日前後まで楽しむことができる。摘み取った可憐な水仙を手に、参加者たちは笑顔で帰路に着いた。

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