総勢100名が参加 地域の里山ハイキング

 寒さ真っ只中の1月24日?、市原市宿にある内田未来楽校(旧内田小)には朝早くから大勢の人たちが続々と集まってきた。この日は、内田の森ハイキング(報徳の会主催)開催日。市内外から来た参加者が受付を済ませ、9時過ぎに関係者を含め総勢約100名がスタートを切った。
 宿から真ヶ谷の集落へと進む。間もなく、三島神社の前を通る。毎年10月、ここ宿町会の秋祭りでは、夜になると三島神社と道路沿いに行灯の火がともされる。国道ができるまでは茂原へ向かう街道として人馬の往来が盛んだった旧道を歩き、いよいよ山に入る。
 その昔、真ヶ谷城があったとされる地であるが、いつの時代に建てられたものか、城主が誰だったのかなど詳細については明らかになっていない。しかし、郷土史家の調査により城の遺構があるという場所の周辺には、『ほんのち(堀の内)』、『とのべた(殿辺田)』という城にまつわる屋号が残っており、城があったことを証拠づけるものと考えられている。報徳の会の小出さんは「この先には馬の鞍を作っていた鞍屋さんという屋号のお宅もあります」と話す。
 坂道を上り竹林を抜け砦があった場所に着く。郷土史家・佐野彪さんが「ここは通称、要害と呼ばれた。養老川支流の内田川を外堀にして、この山の尾根を幾つか掘り空堀として敵の侵入を防いだ。地元の人たちは、なまって『ようげ』と言っている」と話すと、参加者は興味深そうに聞いていた。
 その後、左右断崖の馬の背まで上り道を行く。更に山道から急斜面をよじ登ると、佐野さん曰く「阿弥陀如来の右脇侍の勢至菩薩ではないかと言われているが、はっきりとは分からない」という石仏が建っていた。勢至菩薩とは午年の守り本尊。右脇侍とは智慧の光をもって一切を照らし、生命あるものすべてが地獄・餓鬼界へ落ちないように救う菩薩である。造られ祀られたのは今から308年前の宝永2年。菩薩に刻まれた二十三夜の文字。月待信仰のひとつで陰暦二十三夜に、女性が集まり飲食やお喋りを楽しんだという講だ。尚、この菩薩が祀られて2年後に、富士山が噴火し、この辺りにも灰がたくさん降った。村の農民は作物が作れず困り果て、役場に嘆願書を出したという古文書が、真ヶ谷に隣接する川在の名主だった家に残されているそうだ。
 再び山頂へと向かい、庚申塔へ。こちらは、さきほどの菩薩より16年ほど後に建てられた。峠路沿いの集落の外れなどでよく見られる庚申塔。平安時代に中国から伝わり江戸時代に隆盛を極めた庚申講。人の身体の中には三尸という虫がいて、60日ごとに巡ってくる庚申(かのえさる)の日の夜、虫が体内から出てきて天の神様に、その人の悪行を報告し、怒った神様が早死にさせてしまう。だから、庚申の夜は夜通し起きて虫が体内から出ないようにした。そして60年ごとに巡ってくる庚申の年には庚申塔を建てたという。
 塔の正面には頭に蛇をのせ邪鬼を踏みつけた青面金剛像、その足下には言わざるの猿が何故か片方の手で口を隠す三猿と鶏が刻まれている。庚申の甲から猿が、そして古くから鶏が鳴くと夜の間、はこびっていた邪鬼が退散し禍が去っていくということから朝を告げる存在の鶏が刻まれている。いずれにしても驚いたのは、10数年しか違わないのに、先刻見た菩薩よりくっきりと彫りが見られること。これは最近まで倒れて土中に埋もれていたため、全く風化されなかったから。会の仲間と共にこの塔の保存に努めてきた小出さんは「安山岩で造られ高さ約1.2メートル重さ200キロ以上ある。これを山のてっぺん近くまで運んでくるのは大変だったろうと思う」と当時の人々の苦労に想いを馳せる。
 少し歩き、この山の最高地点に到着。標高150メートルだ。ここからは、だらだらと下り『むじな坂』を通り、三基の馬頭観音を見学し、内田未来楽校へ戻った。約4キロ、2時間半のハイキング。未就学児から80代という幅広い年代の参加者は、『市原米沢の森を考える会』の女性たちが作ったイノシシ汁と内田産の新米で炊いたご飯に舌鼓を打った。
 また、当日は校舎内で『いちはらアート×ミックス 未来に向けた笑顔の写真展』が開催され、開催前から閉幕までが時系列に展示されていた。横浜から来た男女は「写真家の中井精也さんが好きで、彼の影響で小湊線の南市原エリアを毎週、車で廻っている。都会の疲れを癒してくれる土地だと思う。今日は里見駅で喜動房倶楽部の方から、ここを教えてもらって来た」と話した。
 小出さんは「どの写真も笑顔にあふれ、エネルギーを感じるもの。これを次のアート×ミックスいちはらの力にしたい、笑顔をつなげようという願いをこめて、菜の花プレイヤーズや地域のボランティアの皆さんの笑顔の写真を集めた。この企画で、また絆が結ばれ、未来に向けて頑張ろうという想いが、この地域から市原全域に広がればいい」と話す。
 同写真展は、2月21日(土)、22日(日)にも、是非、報徳の会の皆さんが整備して維持保存に努めている市原最古の木造校舎で開かれる写真展に足を運んでみて。

問合せ 小出さん
TEL 090・2661・5567

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