薬草・食用で親しまれてきたナズナ

 今回の題材に選んだナズナは広く知られている通り、春の七草のひとつです。セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ。今回はナズナのほかにも、セリとホトケノザを見つけることができました。
 ナズナは道端や田畑、野原などに生える年越草で、高さは10~50センチ程。3ミリほどの白い4弁化を花穂状につけます。花は下の方から終わってばち型の実をつけますが、先端では次々に花が咲くので実が小さな葉のように見えます。本当の葉は細長く、先端はとがっています。
 ナズナの名前の由来は、撫でたいほど可愛らしいので「撫で菜」、夏には枯れてしまうことから「夏無」など諸説あります。また別名として、実同士がぶつかる時の音や実の形が三味線のばちに似ていることから、「ぺんぺん草」「三味線草」とも呼ばれています。
 ナズナは有史以前に大陸から渡来し食用・薬草として古くから用いられてきました。昔は野菜として重宝され、七草がゆにいれて食べるようになったのは平安時代からのようです。
 観察に行った日は3月も半ば、まだ冬のコートが必要でした。それでも里山の植物はそれぞれの生命サイクルに従い、新芽を出したり花を咲かせています。今回訪れた場所は久しぶりに行ったのですが、一部整地されていたり動物除けが電流仕掛けになっているなど、生活と自然が以前より分断されたように感じるところもありました。これからも人と動植物が上手に共存し、里山の環境が保たれるといいなと思います。お弁当とカメラを持って、また里山に散歩に行きたいです。

ナチュラリストネット/岡島 亜純

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