花の心を知る

 たっぷりと水の入った丸い器と四角い剣山が用意された部屋で「植物の汁がつくのでエプロンをして」と参加者4人を気遣ったのは生け花の古流松應会(こりゅうしょうおうかい)の教授安藤育美さん。5月下旬、菊間コミュニティ・保健福祉センターにて『花の心いけばな』(全6回)がスタートした。
 初回に初夏の花材を使い習ったのは「生け花の基本中の基本」である盛花の第一花型。はじめに中心の『真』となる長いコバノズイナのひと枝を選ぶ。茎は斜めに切り、剣山の奥の方にまっすぐ刺してから少し傾けて固定する。真に対峙するように7割の長さにした『副(そえ)』の枝を左手に、5割の長さにした『受(うけ)』の枝を右手に、3本が三角形になるように配置する。
 次にあしらいとなるスカシユリとナデシコの一種ソネットセーラは重ならないように小さな三角を意識して位置を決める。安藤さんは「奥行きに気を付けて」、「ここを切ってすっきりと」など一人ひとりに丁寧なアドバイス。「茎が細く立たない」と戸惑う参加者には余ったユリの太い茎に細いナデシコの根元を刺し補強してみせた。
 花はまだつぼみ。「全部咲くときれいだと思う人も、賑やかすぎると思う人もいる。そのつど形を整え変化を楽しんで」とのこと。 「野山や庭の草木が生けてと語りかけてくることもある。花の心に気付く優しさを持ってほしい」と安藤さん。初めて華道を習ったという参加者は「家でコップに挿すときも型を応用できる」と嬉しそうに完成品を眺めていた。最終回までには季節が移り、夏の花も扱う。

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