謎多き夏鳥!?ホトトギス

 ホトトギスは5月中旬頃に、南方から繁殖のため日本に渡ってくる、カッコウの仲間の夏鳥である。響き渡る声で「キョッキョ、キョキョキョキョ」と鳴く。時には、夜通し鳴くことがある。その声を「特許許可局」「てっぺんかけたか」等と、親しみを持って聞きなしされる。市原市内ほぼ全域で聞くことができ、そのあまりにも知られた鳴き声から「目に青葉、山ホトトギス、初ガツオ」と初夏の季語の代名詞になっている。また、それ以上にホトトギスの鳴き声を有名にしているのは、「鳴かぬなら…、ホトトギス」の句である。戦国武将の気性を比べる素材として扱われている。
 カッコウの仲間に共通する最大の特徴は、托卵(たくらん)行動。他の野鳥の巣に卵を産み付け、卵の世話をその野鳥にさせることである。ホトトギスは、主にウグイスに托卵する。ホトトギスがウグイスの留守中に巣の中に卵を産みつけ、ウグイスに卵を温めさせる。いち早く孵化したホトトギスのヒナは、ウグイスの卵を巣外に落とし、その後は仮親であるウグイスに餌をもらって成長、巣立っていく。ウグイスの卵はチョコレート色、ホトトギスが産む卵も同じ色。野鳥の種類により卵の色は異なるが、色を合わせて産んでいることになる。托卵とはなんとも不思議な行動である。
 この先が更に不思議である。一般の野鳥は、親鳥から餌の取り方など教えてもらう。本当の親鳥を知らないホトトギスはどのように餌がいる場所や餌の取り方を覚えるのだろうか?どのように南方に渡り、翌年また日本に戻ってくるのだろう?DNAに記されている情報だけで、それらの行動が説明できるのか?様々な仮説はあるものの解明されていない謎である。野鳥の生態は奥行が深い。

(ナチュラリストネット/岡嘉弘、写真提供/掛札紘一)

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