女性たちが余剰野菜で惣菜や特産品作り廃校を拠点に、道の駅を舞台にビジネス化したい

『花子倶楽部LLP』発起人 トータルプランナー 中田圭さん

 中田圭さん(60)は、夫の定年を機に、7年前、東京から富津市へ移り住んだ。間もなく、料理好きだったので、弁当屋を開業した。手作りと地元産の食材を使うことにこだわり、美味しいと地元企業から注文が殺到。「私が作って主人が配達する。店頭販売もしたけれど、並べた弁当はすぐに売り切れてしまい、慌ててシャッターを閉める日々でした」中田さんは当時を振り返り苦笑する。
 そして、たまたま遊びに訪れた大多喜町に惹かれ、何度も足を運ぶようになった。美しい里山、そこに暮らす人たちが作る減農薬や無農薬の野菜。ところが、売れ残ったり、規格外で出荷できなかったり、自家用に育てたものの食べきれないでいた。そんな余剰野菜を見た時、中田さんは閃いた。
 もともと企画は得意。都内で鞄会社経営を経営していた時には、インナーバッグ・バッグインバッグを考案し、日米で特許を取得。歌舞伎座の人気土産、小判形の煎餅『これでよしなに』も考案した。町おこし事業のプロジェクトにも数多く関わってきた。大多喜町役場に出向き、「収入に結びつかない余剰野菜を使って惣菜や特産品を作る。その担い手は町のシニア女性。彼女たちが作業に関わることで年金以外に収入を得て、生き甲斐にもなり元気になれば町も元気になる。また、共同作業は皆のコミュニティを築く」と提案。その後大多喜町に移住し、2年前、有志を募り『花子倶楽部』を立ち上げた。助成金を受け、旧道沿いにある空店舗を活動の拠点とした。現在、メンバーは6名。シニア女性が多いので『花子倶楽部』と名付けた。  
 中田さんの考える、余剰野菜を使った町おこしの基本は2つ。ひとつは、LLP(有限責任事業組合)としての活動。ベンチャー事業に積極的に取り組んでもらおうと2005年に施行された形態組織。法人ではないため法人税は支払わない。2つ目は、第六次産業化。農業や水産業などの第一次産業が第二次産業である食品加工や第三次産業の流通販売にも業務展開する経営形態。加工賃や流通マージン等の、今まで第二次・第三次産業の事業者が得ていた付加価値(農業のブランド化、消費者への直接販売、レストラン経営)を農業者自身が得て、農業を活性化させようというもの。
 活動を始め、弁当作りと食事処経営、オリジナルの特産品作りに挑戦してきた。手作り弁当も人気だが、大多喜町の新しい名物と町内外で大好評なのが、『大多喜サルサ』。
2013年、町おこしを目的に企業や商店、個人で構成された任意団体『大多喜勝利士隊』をバックアップするために『メキシカンサラダ焼きそば』に『大多喜サルサ』をトッピングしてご当地メニューとして考案した。
「大多喜サルサは、イベントで出す食をと頼まれて焼きそばを。トマトソースと相性が良いと考え、色々試作した結果、サルサに決めた。大多喜特産のタケノコも入れ、ノンオイルでヘルシーなソース。辛口と子どもも食べられるものと2種類ある。タケノコを醤油で味付けしたので、ご飯にも合う。ピザソースのように、パンにのせたり、オムライスに入れたり。ゴルフ場でも販売し、リピーターも増えコンスタントに売れています」と中田さん。
 当初、ビジネスモデルとして「スモールキッチン計画」を目指したが、「スモールキッチンとは、基本的に個々の自宅で惣菜の一部を作り、それを持ち寄って弁当や加工品を作るのですが、一般家庭で最小規模とはいえ、3~5坪くらいの惣菜厨房を備えるのは会員の負担が大きい。だから、皆が惣菜作りのできる施設をと考え、廃校となった上瀑小学校を利用でいないか町にお願いしているところです」と話す。
 その上で、「私は日常食を大切に考えている。私が子どもの頃は外食は少なかった。でも、現在、ファストフードやインスタント、冷凍食品などの浸透により、作り手の顔が見えない食品に囲まれた生活を送っている。私たちがやっていきたいのは、手作りで安心安全な地元産品を使った食の提供。まずは地元のシニアの方々に、コンビニ食でなく手作りの食を提供し支えていきたい。これをビジネス化するために、お客さんの立場になって考えると、商品は種類が豊富に揃っていた方がいい。でも、ひとりで、種類豊富にたくさん作るのは難しい。けれど、同じ思いをもつ人たちが集まれば、それも可能になる。弁当にしても、皆で担当する惣菜を決めて持ち寄ればいいし、パンを作りたい人がいたら、同じようにパンを作って販売したい人が10人集まれば立派なパン屋さんになる。各自の家でなく、設備の整った厨房のある施設で作れたら、会に参加したいという人たちも増える。移住者や何か始めたいという人たちを招き入れる場にもなる。上瀑小を町おこしの拠点にし、そこで作られたものを、町の道の駅・たけゆらの里で販売していきたい。道の駅も、様々な商品が並ぶことで、お客様も喜ぶ」と熱い思いを語る。
「パンにもパスタにも合う『大多喜ジェノベーゼ』など新しい特産品も完成間近。アイディアは、たくさんある。たとえば、日本古来のヤマトヨモギが少なくなってきている。そこで、これを栽培してうどんや蕎麦、団子を作り商品化し、大多喜=里山とPRする。また、研究会を作って、料理自慢の人の話を交え商品化したり、観光客が喜ぶ食の体験も催したい。また、働くママの支援をする仕組みづくりもしていきたい」。大多喜町を元気にしたい!という中田さんの挑戦は始まったばかりだ  

問合せ 花子倶楽部
TEL 0470・64・6448

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