日本初となる口語自由詩を発表、詩壇に大きな波紋を投じ、市原市内12校の校歌を作詞した川路柳虹の資料展開催中

 七五調の文語体が全盛だった明治時代に、口語自由詩を初めて発表した川路柳虹(本名・誠)。
 彼の資料展が9月末日まで市原鶴舞郵便局で開催されている((土)(日)(祝)を除く9~17時)。太平洋戦争中、疎開してきたことをきっかけに鶴舞に居を構えた川路柳虹。市原市の小中高校の校歌を作詞した。彼の詩集のいくつかは、親交のあった鶴舞在住の世界的に有名な銅版画家、深沢幸雄さんが装幀している。
 日本芸術院賞を受賞した川路柳虹は明治21(1988)年、東京生まれ。曾祖父は幕末の政治家(外交官)として知られる。英学者の父は新政府に仕え、伊藤博文の秘書、岩倉具視の書記官として渡米に随行し、母は、美術学校で絵画を学び歌人でもあった。
 幼少期、当時、校長をしていた父の転任に伴い、広島県や兵庫県で暮らし、中学3年の時に中退して京都の美術工芸学校に入学。中学時代から始めた投稿を続け、雑誌に多くの作品が掲載された。19歳の時、発表した口語体自由詩『塵溜』等が注目を集め、詩壇に大きな波紋を投じた。その後、黒田清輝の薦めで東京美術学校(東京芸術大学)日本画科に進むが、詩作は旺盛で処女詩集『路傍の花』を発刊する。
 口語自由詩を収録した最初の詩集として、その意義は大きく、七五調などの古い詩型を破り、言文一致による新しい詩をつくったことで、詩における自然主義革命が実現したといわれている。以降、新進詩人として、三木露風、西条八十等と季刊紙を発行したりと活躍する傍ら、評論やフランス詩壇の紹介もした。
 画家の登竜門、二科会に野心作を出品したものの落選した柳虹は絵筆を捨て、詩と美術批評に専念。鶴舞に暮らすようになったのは56歳の秋。同年夏、白鳥省吾らと鶴舞に一泊旅行をした際、池和田の風景が気に入り、疎開先にと、当時、毎日新聞社鶴舞通信部主任だった小島佐四郎さんの紹介で、鶴舞町池和田の農家の奥の間を借りた。それから、自宅のある東京と鶴舞を往復する生活を送り、のちに同じ集落内の池田家の土地を借り受け住まいとした。
 その後、7年間、池和田で生活し、数々の作品を残し、市原市12校の校歌を作詞した(市原第二高等学校、鶴舞小・中高校、牛久小・中学校、五井中学校、姉崎中学校、菊間小・中学校、市東中学校、戸田小学校、海上小学校)。他、鶴舞盆踊り唄等も。
 東京に戻ってからも詩作に励み、古希を前に詩集『波』を発刊。現代詩人会より表彰される。翌年、同詩集と過去の業績から日本芸術院賞受賞。そして、昭和34(1959)年、70歳で死去。
 川路柳虹が若干19歳で発表した、先駆的な詩『塵溜』は詩壇に大きな影響を及ぼし、白樺派・民芸詩派の詩人や高村光太郎、萩原朔太郎らにより近代詩として成熟・完成した。
 この、口語自由詩の先駆けとなった川路柳虹の資料を蒐集し、展示会を開催した鶴舞在住の大岩裕幸さんは、これまでにも郷土にゆかりのある人物や、時の流れの中で埋もれがちな人々を掘り起こし地域の人たちに展示を通して紹介してきた。
 今回の企画について、「資料展では柳虹が作詞した市内12校の校歌をはじめ、著書や真筆の色紙や絵画など様々な作品を展示しています。今回の資料展で地域の皆さんに、川路柳虹という人物を再確認していただくと共に、次世代の子どもたちに引き継ぐ貴重な資料として、ご覧になっていただけたら」と話す。

問合せ 市原鶴舞郵便局
TEL 0436・88・2001

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