地域を守るヒーローたち

県消防操法大会最優秀賞 加茂支団第3分団

 「自分たちのまちは、自分たちで守る」との精神のもと、それぞれ本業を持ちながら、地域の消防活動に従事している消防団員。7月25日、千葉県消防学校で開催された第51回県消防操法大会において、市原市消防団加茂支団第3分団が小型ポンプの部で最優秀賞を勝ち取った。大会は、日ごろの訓練の成果を発表することで消防操法技術の向上と士気高揚を図り、地域防災体制の強化に役立てることを目的としている。
 大会では、同分団に所属する21人の中から選ばれた5人が力を合わせ、ポンプからホースを伸ばし火に見立てた的に向かって放水する作業を披露した。指揮者、1から3番員、補助員まで、各々の担当する動きが決まっており、一連の動作の正確さと速さ、規律の遵守が判定の対象となる。加茂支団大会、市消防操法大会、千葉支部大会を勝ち抜いた第3分団のタイムは41秒台とダントツだった。「練習時より、いい結果が出せたことが嬉しかった。みんな本番に強いのです。チームワークのよさと日々の練習の成果ですね」と指揮者の川﨑宜彰さん。
 第3分団の団員は20から40代。普段は会社員や公務員、寺の住職などに従事しているのだが、3月末から大会に向けての特訓が始まる。仕事を終えてから夜10時頃まで、加茂学園のグラウンドなどで週に5日の練習をこなしてきた。大会に出場する5人以外の団員や、加茂支団大会以降は加茂地区の他の分団員も、照明の準備などのサポートにあたっており、加茂地区の団員が一丸となって手にした勲章ともいえるだろう。「勝ち進むにつれて練習期間が延び、支援してくれる人々の負担も増える。その分、期待に応えたいという思いと、14年前に分団OBが最優秀賞を獲得しているので、毎年、今年こそはというプレッシャーがありました」と杉田賢公さん。
 大会前は、家族と過ごす時間が削られたり慣れない動きで体が痛くなることもあるが「団員になったことで、幅広い年代の地域の人と繋がることができた。災害時にも、面識があるのとないのとでは互いの対応や情報交換などにおいて大きな差が出る」と分団長の鶴岡公徳さんを始め、団員は口を揃える。
 だが、彼らの本番は大会ではない。実際に目の前で災害が起きたときにどう動けるか。幸いにも要請はなかったが、東日本大震災時にはいつでも出動できるよう分団詰所前で待機していた。台風や大雨時、夜間の定期パトロールの他、火事現場で消防署員の補助をしたり、行方不明になった高齢者の搜索に関わることもある。団員の中には、千葉市や市内能満など他の地域へ転居した人もいるが「生まれ育った地元のために役立ちたい」という思いで加茂地区を守っている。本番に強い彼らのことだ。災害時には大いに活躍してくれることだろう。

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