みんなでつくるがっこう

 2年前に開催された『中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス』から、「遊・学・匠・食」のプロジェクトを展開してきた月出工舎(旧月出小学校)。藁ブロックに泥を塗り込んで仕上げた土壁と藁をむき出しにした壁はストローベイルと呼ばれる建築法。里山でとれた素材を使用している。今春、第2期のリノベーション(改修)工事を終え、5月3日から8日まで開催された『アートいちはら2016春』ではオープンハウスとしてお目見えした。
 思い出のつまった古びた各教室はギャラリースペースのほか、天井に植物が描かれたレジデンスルームや和の趣のある木製カウンター付きのキッチンなどに変身。壁の一面がホワイトボードで作られたプロジェクトルームや作業場、シャワー室もある。「アートを展示するだけの場ではなく地域活性拠点となるものづくりの工房として機能させたい」とディレクターの岩間賢さん。みんなで何かを生み出すためにプロジェクトルームで計画を練る。月出工舎で寝泊まり、自炊しながら作業に勤しむ、といった感じだ。1階にある食品加工室を使い、食品をプロデュースすることもできる。パッケージのデザインは作家に依頼するのもひとつの手。また、新設された各部屋はサークルやグループの研修、合宿に利用することも可能。「つながること」をテーマに、全国各地から食や美術教育、貸民家といった様々なジャンルのプロを招いての勉強会も行ってきた。「多目的に使うことを想定している。作家だけが創り手となるのではなく、誰もが主役になる『みんなでつくるがっこう』を目指したい」と岩間さんは語る。リノベーションは、岩間さんを含む5人の作家と菜の花プレーヤーズが中心となり、壁や天井をはがすといった「減築」を基本に行われた。費用はかけないが、手間暇は大いにかけ「質は保つ。アートと同じです」と自信を見せる。
 同校舎のエントランスには壁画家の鈴村敦夫さんによる、モザイクとステンドグラスがはめ込まれた巨大燻製機が、ギャラリースペースには小野耕石さんによる版画が展示された。赤、橙、黄、青…見る角度によって様々な表情を見せる版画作品を、来場者は一心にのぞきこんでいた。
 市外から訪れていた女性は「シンプルモダンな感じのリノベーション、素敵です」と話した。来場者が夢中になっていたのは月出工舎に関する12問のクイズ。校舎内を奔走し問題を探して考える。全問正解したら、岩間さんと染織作家、岡博美さんデザインの缶バッジがもらえるというもの。間違えた人でも自分でデザインしたオリジナル缶バッジを作ることができ、家族連れにも大好評だった。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  市原市出身のマジシャンPiace(ピース)として活躍する内藤淳也さん(26)。マジック界最大のジャパンカップにて、国内で最も活躍した若手マ…
  2.  市原市立内田小学校が2021年(令和3年)3月に閉校した。明治の開校以来、148年に及ぶ歴史に幕が下りたのだ。個人的には非常に感慨深い。同…
  3.  市原市・市東地区の奈良に、高さ2m余りの釈迦如来像の石仏「奈良の大仏」がある。  平将門が、新皇を名乗りこの地の北方に京を模した都を構え…
  4.  コロナ禍で外での食事を制限されている中、家ではちょっとした工夫を凝らしながら楽しむようにしています。採れたハーブをその日の気分によって何種…
  5. 世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、アフリカの状況はどうなっているのでしょうか? ルワンダの首都キガリで幼稚園と小学校を設立し、…
  6.  山武市と東金市の境に位置する『成東・東金食虫植物群落』。大正9年(1920年)に日本で初の国天然記念物の1つとして指定され、昨年100年を…
  7.  睦沢町の田園風景のなかに建つ、ギャラリー801。様々な分野の作家が作品を出している常設展と、毎月3週間ほど開催される企画展を行っている。今…
  8.  3月20日(土)から4月5日(月)、及び4月17日(土)から5月16日(日)の2期間にかけて、千葉市中央区にある千葉市科学館では『ポップア…
  9. [caption id="attachment_38464" align="alignright" width="350"] 作業小屋兼ギャ…
  10.  3月の山を歩いていると赤いヤブツバキの花が目立ちます。虫のいない時期ですが、野鳥たちが蜜を目当てに次々と訪れています。椿の花は花びらと雄し…

ピックアップ記事

  1.  市原市出身のマジシャンPiace(ピース)として活躍する内藤淳也さん(26)。マジック界最大のジャパンカップにて、国内で最も活躍した若手マ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る