アネッサ探検隊 クオードの森に昆虫博士も夢中

 姉崎保健福祉センター(アネッサ)児童館主催の自然観察会『アネッサ探検隊』が今年も開かれた。5月7日、小学生の親子34名の参加者がバスで向かったのはクオードの森(市民の森)。
 到着すると、自然観察指導員の柳池(やないけ)繁さんと田中義和さんに導かれ、雑木林や小川のある道を、子どもたちは補虫網を持って進む。「オオルリが鳴いている」と田中さんが言うと空を見上げ、「オタマジャクシ」と柳池さんが指さすと沼地を覗き込む。ヘビイチゴの赤い実を「おいしくないけど、食べてごらん」と勧められるとこわごわ口に入れる。「かみつくと首が抜けるまではなさない」クビキリキリギリスや「鳥に食べられないように羽が蛇の目模様になっている」ヒメウラナミジャノメなど捕獲された昆虫を見る子どもたちの視線は指導員の指先に釘づけ。
 探検隊最大の目的はモリアオガエルの卵だ。「普段は森に住み、卵を産むときだけ水辺にくる。木に産んだ綿菓子のような卵が孵ると水の上に落ちる」と説明を受け、ワクワクしながら湿地を目指す。ところが、卵もカエルもいない。子どもたちはがっかりするが、手掘りのトンネルをくぐるとすぐに気を取り直し「探検だ」と張り切った。
 クロスジギンヤンマがなわばりのパトロールをする小川に出て、キャンプ場で昼食を食べ終えると、子どもたちは早くも水の中へ。指導員に発見した生き物を見せ、「きれいな声で鳴くカジカガエルは渓流で流されないように吸盤が発達している」、「川を上る魚だからヨシノボリという」など生態を教えてもらう。
 ツチガエルを捕まえた女の子は「前足の指は4本、後ろは5本ある。触るとイボがあるよ」と聞くと、嬉々としてなでてみる。小学1年生の男の子の父親は「息子は学校で昆虫博士と呼ばれるほど虫好き。家の近くとは違う生き物に興奮している」と一緒に虫かごを覗いていた。
 最後にみんなで採った生物を確認すると季節が早いのか水棲昆虫は少ない。大人たちは「環境が変わったり、人間に持ち去られたりして減ったのかな」と少し心配顔だった。自然観察のお約束は「必ず元にいた場所に返す」ということなので、名残惜しいが、生き物は自然界に放した。帰路の車中では2年生の女の子たちが「メスの背中にオスが乗って結婚したカエルがいたよ」、「水草のなかにヌカエビがたくさんいた」と元気に話していた。
 クオードの森には県のレッドデータブックに載る生物が多数いる。この日、五感を使った探検で出合った生き物は30種以上。柳池さんは「生き物はそれぞれ環境に適した場所に住み、お互いに助け合って命を営んでいる。友だちや自分の命も大切にし、これからも自然を大切にしてほしい」と話した。

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