夢を形に ~ドームハウスのオーナーになる

田中信廣さん・淳子さん夫妻

 おそらく千葉県では唯一、関東でも珍しいと思われるドームハウスの宿泊施設が市原市に昨年オープンした。場所は大福山や梅ヶ瀬渓谷へのハイキングコース入口辺り。小湊鐵道養老渓谷駅から道なりに歩き約1.2キロ、住所でいうと、市原市折津1143-8。ドームハウス前の道は林道根向線が右手に分岐している。山の麓の草原に突如現れたアイボリーカラーのドームハウス。この施設の名前は『森のきのこ』。オーナーの田中信廣さん(61)・淳子(62)さん夫妻が初めて見た時、マッシュルームに似ているからと名付けた。
 田中夫妻は市原市牛久在住。この地にドームハウスを建てたいきさつについて尋ねると、そもそもドームハウスに魅せられたのは奥様の淳子さんで、ご主人の信廣さんは妻をサポートするスタンスでいる。
 淳子さんは「8年ほど前にテレビでドームハウスが紹介されたのを見て以来、とても興味を持ちました。以前からエコな暮らしに関心が高く、太陽光発電は8年前から自宅で利用していますし、電灯も大半はLEDを使っています。ドームハウスの魅力は、構造材が炭素と水素でできている発砲ポリスチレンで、その形状から保湿性や保温性に優れているため、空調にかかる費用が抑えられるという点。その上で、地震や強風にも強く、耐久性についても、『木のように腐らず、鉄のように錆びない』ということですし、発砲ポリスチレンはノンフロン、ノンホルムアルデヒド素材なので、アトピーの心配もない。室内は柱がないから自由にレイアウトできるし、角がなくコーナーもない、壁と天井の区別もない癒しを感じる空間。是非、実物を見てみたい、ドームハウスで過ごしてみたいと思いました」と語る。
 県内にはないので、福島県のリゾート施設レジーナの森にあるドームコテージや熊本県南阿蘇村にあるテーマパーク阿蘇ファームランドに450棟あるという宿泊用ドームハウスに泊まりに行ったりもした(※今回の熊本地震では、このドームハウスはほとんど無傷で現在は2次避難所になっている)。
 そうした体験をした上で、「ドームハウスのオーナーになりたい、宿泊施設にして市原を訪れる人たちと交流したいと願うようになりました。当初、自宅敷地内に離れ感覚で建てたいと思っていたのですが、法律上の問題で建てられないと知り、近隣で土地を探したら、偶然ここを見つけたのです」と話す。
 ドームハウスを建てる土地を探していた頃、淳子さんは市民大学の第一期生となり、観光コースで学んでいた。その後、一期生有志が立ち上げた『ふるさと市原応援団』に入団し、市原市の観光情報交換や市内で開催されるイベントの紹介やイベント参加しての感想を発信するなどの活動をしてきた。ドームハウスに訪れる宿泊客にも市原の魅力や情報を提供したいと考えている。
 3人の子育てをしながら25年ほど地元企業で働き、その後、ヘルパーの資格を取り約15年介護の仕事に携わってきた淳子さん。「訪問ヘルパーとして働く中で、お年寄りの優しさに触れ随分と勉強させていただきました。それは、その後、実母の介護をする時にも役立ったと思います」と振り返る。
 介護職に就き、得た知識や経験はドームハウスにも活かされている。ドーム入口がスロープになっており、車椅子で入室できるよう車輪カバーの用意、電動ベッドも備え、防水シーツも。段差のない風呂場には滑り止めマットや介護用のシャワーチェアーもある。洗面台の水道の蛇口は手前にあり不自由な身体でも使いやすい配慮がなされている。「おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんと気兼ねなく過ごせるように」とバリアフリー仕様になっている。
 室内の広さは約11坪。明かり採りの窓を含め室内には3カ所の窓がある。ベッドはソファーベッドを含め4台あるので、家族が一緒に同じスペースで過ごすことができる。「ドームハウスの魅力を体験してもらえたら」終始、朗らかな笑顔で話す淳子さんだが、実はドームハウスを建てる前、土地の契約直前に、がんを告知された。ドームハウスの夢をあきらめようかと悩んだが、気を取り直し、手術・治療を受けた。幸いにも再発や転移もなく現在に至る。「夢を追うためには地に足をつけて生きなくては。家庭を大切にしたい。そして日々の生活の中で『一歩を踏み出す勇気』を持ちたい」と瞳を輝かせる。
 ドームハウスに興味を持たれた方は是非一度宿泊してみては。ドームハウス宿泊料金は1万5千円。室内にはバス・トイレ、エアコン、冷蔵庫、電子レンジあり。敷地内に屋根付きBBQ施設あり(利用料金3千円、食材は持ち込み)。電動自転車のレンタルあり(1台500円、4台あり)。チェックイン15時、チェックアウト10時。予約は当日朝まで可能。受付時間は9~21時。

問合せ 田中さん
TEL 080・9363・0125

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