岩壁に咲く人に優しい花 イワタバコ

 「イワタバコ」、あまり聞きなれない名前です。JT(日本たばこ産業㈱)の関連製品かと勘違いしそうですね。実は、夏に紫色の花を咲かせる植物。常に水が染み出しているような日陰の湿った岩壁や湿気の多い斜面に群生します。しわがよった大きな光沢のある葉が、タバコの葉に似ているから「イワタバコ」と呼ばれるようです。東北地方以南から台湾まで広く分布。
 名前の由来となった葉は、長さ10~30㎝程の縁に鋸歯がある楕円状で、根元から2・3枚、岩壁に張り付くように出ています。多年草で、冬の間は葉を丸めて休眠するそう。6月下旬7月、葉の間から花茎を10~20㎝程伸ばし、その先に花径2㎝程の紫色の星形の花を数輪咲かせます。実に可愛らしく綺麗な花です。
 花言葉は「涼しげ」「愛らしい心」などいくつかあります。谷川など湿った岩場の日陰でいかにも涼しげに咲く可憐な花の姿につけられたのでしょう。また、果実を服用すると胃潰瘍や慢性胃炎、食べ過ぎ、飲み過ぎなどの症状に効果があると言われ、いろいろな意味で人に優しい植物と言えます。
 万葉集の柿本人麻呂が詠んだ「山萵苣 白露重 浦經 心深 吾戀不止」(山ぢしゃの、白露重み、うらぶれて、心も深く、我が恋やまず)の「山萵苣(やまぢしゃ)」がイワタバコを指すとの説があるようです。「イワタバコの花が露に濡れて重たく垂れ下がっているように、私の心もうちしおれていますが、益々恋心が募ります」といった意味に解釈されています。片思いの歌とはいえ、昔から、恋の歌に使われている花のようです。素敵ですね。
 市原市近郊では、養老川上流域の岩壁、特に、梅が瀬渓谷、粟又の滝、クオードの森(旧市原市民の森)等で間近に観察することができます。岸壁に咲く可憐な紫色の花は、きっと日頃の疲れも癒してくれることでしょう。

(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

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