晩年を支える、理想の緩和ケア

 6月11日に八幡公民館で行われた『行動するガン患者会「アクティブ」』主催の市民公開講座は、『アコーディオンいちはら』による演奏と約40名の参加者の大合唱で楽しげに幕を開けた。『アクティブ』は、がん患者とその家族などの集まりで、情報交換や様々なイベントを通しお互いに支え合いながら市原市内で活動している。
 講座『生きるための緩和医療』の講師を務めたのは、南房総市にあるクリニックの院長、伊藤真美さん。緩和医療とは、がんなど命にかかわる病気を患う患者に対し、身体的・精神的な苦痛をやわらげるための医療のこと。
 近年になり、看取るまでの緩和医療から生きることを支えていく緩和医療へと国民や医療関係者の意識が変わってきた。ところが医療保険が利用でき化学療法などの医療行為が受けられる病院と、介護保険が利用でき生活や心のケアが中心となる介護施設とでは窓口が異なり、統合された治療を受けることの難しさが問題となっている。
 「効率化や経済性を優先させる現在の制度は患者のニーズに対応していない」と指摘する伊藤さんは「患者の目線に立ち最期まで関わりたい」と内科診療所を開院。徐々にサービスを広げ、現在は外来のほか14床の緩和ケア病棟をもち在宅支援も行う診療所として患者のケアにあたっている。
 緩和ケアには3つのステップがある。1つめは、食べる・排泄する・体を清潔に保つなど人間らしく生きるための基本活動の介助。2つめは、暮らしの中で他者と関わるための支援。3つめは、「死は自然に還ること」との考えを患者と分かち合い、それを支えにする。伊藤さんは、これらのケアと並行し抗がん剤投与や放射線治療も行う。化学療法や放射線治療が生存期間を延ばすという臨床データが得られているからだ。「延命治療ではなく、緩和ケアを受けたい」という患者も多いが「医療自体がそもそも延命医療。症状緩和につながる化学療法や放射線治療を用いた緩和医療も進めていきたい」と話す。
 国内の医療費が40兆円を超えたと問題視されている。だが「GDPに占める割合は先進国では特別に高いわけではない。急増している防衛費の方が問題。生活保護者が増え、医療格差が拡大している現実を見るとどちらが本当に必要なのか、考えてみなければならない」と医療保障充実の必要性についても述べた。
 同クリニックの庭内には『スープのよろずや「花」』が併設されている。身近にある旬の食材でやさしく体に届く食べ物をとの思いで3年前に開店した。病気や老いで手助けが必要な人と、手助けする人が集い支え合う場所でもある。興味のある方は足を運んでみては。

問合せ 伊藤さん
TEL 0470・44・5363

問合せ 『アクティブ』穂坂さん
TEL 090・1207・6151
年会費は正会員2,400円、賛助会員1,200円。

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