野草の紫陽花 クサアジサイ

 林縁の湿った所を散策して、ユキノシタ科アジサイ属タマアジサイ(玉紫陽花)が数株あった。
 球形の蕾はまだ開いていなかったが、その下に小さなアジサイが咲き、ハナアブが蜜を吸いに頻繁に訪れていた。タマアジサイの幼木と思いこんだが、違和感があり図鑑で調べてみた。同じものが見つからず、写真をネットに投稿してお聞きした。一発回答でユキノシタ科クサアジサイ属クサアジサイ(草紫陽花)と判明。樹木ではなく野草の多年草であった。
 真っ直ぐ伸びた茎先に散房花序を出し、中心部にある両性花は大きさ5ミリほどで5弁。外側の装飾花は大きさ15ミリほどで萼片3個が変形したもの。花期は~9月、色は白から淡紅紫。葉は互生で長さ8~20センチの広披針形、葉先が尾状にとがり、鋸歯がある。アジサイ属の葉は対生なのでこの点が大きく異なる。
 携帯やデジカメで撮った花の写真を投稿すると、名前の候補を挙げてもらえるサイトがいくつかある。写真と回答を覗いているだけで、この時期に咲いている花の種類が判る。名前だけの質問から少し突っ込んだ専門的なことまで判りやすい回答が述べられる。植物以外のジャンルのサイトもある。回答者は専門家から愛好家まで多士済々。簡単に投稿できるだけに、無償の回答には礼をもっての返答を心がけることが大事と感じた。
 歩いているだけで靴が濡れるような所で途中から長靴に履き替えて散策した。狭いながらも湿地特有の多様性が見られ、いつもの倍の時間を要して観察した。林縁に分け入っての散策で思いがけないものに出合えるのも市原の自然が豊かな証。いつまでも大切に残したい。

(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る