内田未来楽校 市内中学生が提言 里山の竹で流しそうめん

 昨夏、次世代の意見を聞きたいと、新総合計画を進める市原市と千葉大学を中心とした研究チームが『いちはら未来ワークショップ』を共同開催した。参加した市内在住の中高生40名は、多世代共創をテーマに人、人工物、自然、仕組みの4つの資源に注目したプロジェクトに取り組む千葉大学の倉阪秀史教授から、25年後の市原市を予測した話を聞き、人口減や高齢化等の問題について再認識した。
 その後、生徒たちは上総牛久駅周辺、内田未来楽校、出光興産(株)千葉製油所を見学し、『25年後の未来市長』になったつもりで、課題を掲げ現在の市長にやっておいてほしいことを提案した。それは空き家、ゴルフ場、小湊鉄道など多岐に渡り、その中の1つに南部活性化があり、内田未来楽校で流しそうめんをやったらどうかという提言があった。周辺の里山が竹の増殖で荒廃していると聞き、竹の再利用を進めることで里山の復元をと、切り出した竹でそうめんを流す樋やつゆを入れる容器を作ろうと考えたのだ。
 これを受け、内田未来楽校を管理する報徳の会(常澄良平会長)の皆さんが「是非、取り組んでみたい」と応じた。そして、『いちはら未来ワークショップ』での中高生による提案を実現しようと有志による実行委員会が組織され企画運営が進められた。ここに市原市と千葉大学、報徳の会が共催協力してなった。8月28日(日)、内田未来楽校で『流しそうめんの夏』が開催され、約200人の来場者で賑わった。倉阪教授は「中高生であっても提言すれば行政が動くということを実感してほしかった。他の提言も実現してもらいたいですね。選挙権年齢も18歳以上に引き下げられたことですし」と話した。
 内田未来楽校では、これまでも自然豊かな里山というロケーションや築90年近い市原最古の木造校舎を活かし、様々なイベントが年間通して行われているが、流しそうめんは初めて。当日はのこぎりで竹を切り作ったマイカップや箸を手に、約20メートルの樋を流れるそうめんをすくい取ろうと、あちこちから歓声が沸き起こり大いに盛り上がった。中には参加した大人の方が童心に返りすぎ?子ども以上に夢中になり、流れてくるそうめんを片っ端からすくい上げ、低い位置で待機している子どもたちがなかなかそうめんにありつけないシーンも見られたが、低い位置からもそうめんを流すようにして解決。中国人やメキシコ人の参加者もいて、皆さん、日本ならではの夏の風物詩でもあるそうめん流し初体験を楽しみ、国際色豊かな催しとなった。
 そうめんに加え、女性会員が揚げるコロッケも美味しいと好評で、皆美味しそうに頬張っていた。カフェ開催日に販売する来場者には大人気の第2クローバー学園のパンや焼き菓子も完売した。
 また、来春のアートイベントで使うてふてふ(蝶々)作りや、「豊かな生態系と生物多様性を守るために絶滅したオオカミの復活・導入を目指す活動をしている」一般社団法人日本オオカミ協会の展示会も行われた。同時に、普段はハワイアンを演奏し施設へ慰問するなどの活動を行っている『マーリエ』の皆さんの演奏会も開かれ、『少年時代』や『エーデルワイス』等を披露した。
 後半はペットボトルロケット飛ばしやスイカ割りが行われ、来場者の多くは「懐かしいスイカ割りやエコなペットボトルロケット飛ばし、本格的な流しそうめんなど楽しい夏の思い出づくりができた1日だった」と、満足した様子。今回の提言は市新総合計画に反映されるという。
 報徳の会は、廃校となり取り壊しの危機にさらされた校舎を所有者から5年計画で買収し(900万円)、市民の力で寄付を募りながら返済を続けている。しかし老朽化した校舎の維持管理費の捻出が大きな課題となっている。今年9月、会の活動が評価され、市原ロータリークラブ平成28年度『地域社会貢献基金』支援事業に採択が決定。支援金額は10万円。また、『ちばのWA地域づくり基金』を通して集まった寄付金は約60万円。この支援金や寄付金を利用して校舎を修繕し、地域の拠点としての環境整備を進め、人と人とのつながりがある地域社会を目指そうとしている。
 里山と街をつなぐオアシス、内田未来楽校は守るべき郷土の宝。寄付金は常時募っている。
 内田未来楽校では毎週(火)(木)(土)の午前中、『内田の友 朝市』が開かれ、毎月第3(土)(日)には『おもしろ展示会』やカフェを開催している。他、季節のイベントも開催中。是非、足を運び、交流を楽しんでみては。イベント予定や詳細はHP参照。

問合せ 事務局長・小出さん
TEL 090・2661・5567

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