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亡き隊員に捧げた楽曲
- 2018/1/26
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写真上↑ 小倉さん夫妻
昨秋、市原市市民会館にて第39回千葉県消防音楽隊フェスティバルが開催された。フィナーレを飾った曲は『宝島』。市原市消防音楽隊が千葉市、習志野市の消防音楽隊、特別出演の東海大学付属市原望洋高校吹奏楽部・バトン部の協力を得て演奏すると、聴衆から感動の大きな拍手が起こった。
「私たち家族のための演奏のようで、驚きと嬉しさでいっぱいでした」と話したのは小倉春男さん(66)江身子さん(58)夫妻。母方の姓を継いだ次男森田康禎さんは、音楽隊に入りたいと消防隊員になったが、9年前の10月7日、4年間の闘病の末、悪性黒色腫によって27歳で永眠した。会場には森田さんの妹、闘病中に結婚した妻と亡くなる1カ月前に生まれた9歳の息子もいた。
小倉さん一家を招待したのは音楽隊隊長の池田直人さん。「ある日、サックス担当の森田隊員が木更津高校吹奏楽部時代に使った『宝島』の楽譜を演奏したいと強く希望し、持ってきました」と当時を思い返すように語る。「難しい曲なのでその時はあきらめ、いつか演奏しようと約束しました」。昨年、久しぶりに市原市でフェスティバルが開催されることになり、「市原市でやるのなら」と思い切って最後の曲に選んだ。
今回初めて森田さんの遺志を知った小倉さん夫妻。毎年命日になると墓前にビールを供えてくれていたのも池田さんらだと分かった。秋の演奏会前に必ず墓参りをしてくれていたのだ。「ずっとどなたかわかりませんでした。息子を忘れずにいてくれて感謝しています」と目を潤ませていた。
音楽隊隊長 池田さん
小倉さん夫妻