富士山を望む城跡に

 竹や草木が生い茂った藪に覆われ、この辺りらしいけど、一体何がどこにあるかわからないという城跡は少なくない。そんな史跡のひとつが住民の手で蘇りつつある。昨年3月、県指定文化財の史跡になったのを機に、「椎津城跡を富士山の見える広場にしよう」と椎津七町連合会がふるさと文化課のサポートを受け、整備をしている。会長の田丸榮一さんは「東京湾や夜景の楽しめる場所にしたい」と誇らしげに計画を話す。
 千葉県の重要な軍事的拠点として東京湾を一望できる台地に築城された椎津城。戦国大名北条氏と里見氏の領国の境目にあり、かつて何度も激戦があった。海側に大手口があり、陸側に舌状台地を横切るように、県内有数の規模の堀切がある。市職員の櫻井敦史さんと北見一弘さんは「いくつもの史料に記録が残っています」とその価値を説明する。
 整備は住民自らが構想を練り、自然に親しめる竹林や遊歩道、戦乱の歴史を感じさせる大堀切や臨海部の眺望などを創り出している。櫻井さんは「しだいに風格ある全容が見えてきました。完成すれば多くの人が訪れる場所になります。いずれ地元を愛する有志が案内してくれるかもしれません。今後の市民による史跡整備の草分け的存在になるでしょう」と期待している。

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