季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

いつ、どこだったか、小さなバラ園に立ち寄ったことがある。温室を出て中庭を道順に進むうちにそれは立っていた。無数のバラに囲まれた愛と美の女神、ミロのビーナス像だ。まぶしいほどに明るい昼下がり、等身大のそれは圧倒的存在感を放っていた。自然美と造形美、バラと古代ギリシャ彫刻を対比しながら、私はしばしの時をそこに過ごした。思えば画学生の勉強の素材でもある有名なこの彫像、模造品が世界中に出回っているようだ。等身大、半身像、大小様々だが、ホテルのロビーやレストランの片隅、個人の家の庭先にも飾られている。ちなみに私の手元には百円ショップで買った小さなビーナス像があり、台座にはMADE IN THAILANDと記されている。

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