「魚が好き!」から始まった海を舞台に人生を楽しむ

堺 孝興さん

 市原市青葉台で奥様と暮らす堺孝興さんは、若い頃から趣味で始めたカラー魚拓、釣り、定年後にはダイビング、ボランティア活動、野菜づくりを楽しむ日々を送っている。70代から80代にかけて「おひとり様」で地球一周船旅ツアーにも参加した。好奇心旺盛でアクティブなパワーの源はどこにあるのか?お話を聞くにつれ、それは海からの贈り物に触れてのことだと思えた。釣りが好きで魚大好き。だから、魚拓制作やダイビングの世界へと、海を舞台に世界は広がったのだ。
 堺さんは福岡県で生まれ、東京の大学を卒業後、京葉コンビナートにある企業に転勤、電気設備管理の仕事に就いた。「子どもの頃から釣りが好きで、千葉県に移り住むと休日は海へ行き、家にいることはほとんどなかった」と若かりし頃の釣りバカぶりを振り返る。
 当初、千葉市で生活していたが、30代で市原市へ。「あの頃は館山市の海でチョウチョウウオの稚魚を見て感動し、スクーバダイビングがやりたくてたまらなかった。でも、当時はお金のかかるマリンレジャー。できなかった。その代わり、シュノーケルとウェットスーツは購入してスキンダイビングで、稚魚をすくい採り飼育していました。40代は工場の管理職で仕事一筋。50代で九州へ赴任。休日はもちろん、出勤前にも釣りと釣り三昧でした」と快活に笑う。
 九州赴任時代に、前々からやりたいと思っていたカラー魚拓の教室に通い師範の資格を取得。定年後、千葉に戻ってきてからは、日本で美術魚拓の第一人者といわれる大野龍太郎さん主宰・日本色彩美術魚拓会の教室へ通った。「それからずっと大野先生のやり方で魚拓を制作しています」。カラー魚拓仲間作りのため公民館などで魚拓教室を主宰したり、作品展を開いたりしてきた。現在は、青葉台ふれあいサロンで毎月第3日曜日の10時から教室を開いている。「魚拓用に大きな魚はツバメウオから小さな魚はチョウチョウウオまで、専用の冷蔵庫とホルマリン漬けで多種類を保存してあるから、当分は魚を採る必要はないです」とのこと。
 58歳の時、定年後何をするか考え、若い頃、念願だったスクーバダイビングを始め、水中写真撮影も楽しむようになった。70歳の頃、『日本シニアダイバーズクラブ』に入会。今年4月にはダイビング仲間とフィリピンへダイビング旅行、5月にはチヌ(クロダイ)狙いで船釣りをと、相変わらず魚と関わる日々は続く。

地球一周船旅へ

 70代半ばで「豪華客船より安い料金のピースボートで地球一周してきた友人の話を聴き、自分も乗ってみたい」と地球一周船旅ツアーに初参加。「各寄港地の港で釣りをして、航海中は魚拓教室をやりたいと言ったら断られた。でも、イースター島で釣り魚をもらい、魚拓にできて嬉しかった」。ところが、昨年2回目の参加で、釣りができないのならとホルマリン漬けの魚を持参しようとしたら、それも断られ意気消沈。仕方なく、貝殻とタツノオトシゴの魚拓教室となった。 1回目は96日間、2回目は104日間の船旅だった。 「海外旅行といっても都市を巡るのは興味ない。自然に惹かれます。1回目の航海で印象に残っているのはエアーズロック、イースター島とラバウル。南極は曇りで全容が見られず残念でした」。2回目の航海では部屋で旅行中撮影した動画の編集作業に打ち込んだ。動画は、後日、青葉台ふれあいサロンでの上映会で披露された。次回は7月21日、青葉台自治会館での青葉台大学で上映する。
 海で過ごす時間が多かったが、定年後、市原に戻ってからは『青葉台小学校区小域福祉ネットワーク』で『青小フラワー会』を立ち上げた。青葉台小学校の環境整備を目標に、ビオトープや花壇の管理、花を種から植え栽培したり、田植え、稲刈りから脱穀までの指導など地域住民と共にボランティア活動をしている。
 更に、5年前からビオトープにホタルを飛ばそうとホタル飼育にも挑戦。昨年はゲンジボタル5匹、ヘイケボタル3匹の飛翔が確認できた。今年4月に池を改修し、育てた600匹のヘイケボタル幼虫を児童が放流。「子どもたちが田植えをした田んぼに、ホタルが飛び交う情景が見られるようになったら嬉しいですね」と微笑む。
 傘寿を過ぎても尚、心身共に元気で毎日の暮らしを充実させたいと前向きな堺さん。現時点での希望は「たくさんある魚拓の整理をやりたい。それから船旅で訪れたタヒチでダイビングできなかったのが心残り。今度はダイビングしに行きたい」とも。まだまだ海への挑戦、お楽しみも尽きないようだ。

問合せ 堺さん
TEL 090・4588・0283

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