好きこそものの上手なれ

 市原市ちはら台在住の藤田知里さん(9)が、第63回二科千葉支部展でジュニア賞を受賞した。二科千葉支部展は、県内の美術展として最大で、今年は幼稚園から中学生までのジュニアの部に342人の応募があった。そのうちジュニア賞の受賞者は10人で、小学生は6人のみ。
 藤田さんが描いたのは草むらの陰から姿を現したキツネの画。佇むキツネの口は笑っているように大きく開き、生き生きとしている。5月から6月にかけて開催された同展覧会では、彼女の画の前で「まるで飛び出してきそうなほど、立体感がでているね」と足を止める鑑賞者がいるほどだった。
 知里さんが水彩画を描き始めたのは幼稚園生の時。「3つ上のお兄ちゃんが絵画教室に行っていて、とても上手だったので憧れて」という知里さん。ちはら台コミュニティセンターで毎月2回行われる絵画教室には、それ以来通い続けている。動きの見えるような動物から風景の写生、物体の模写まで様々なものを描く。
 教室講師の吉川羽さんは、「知里さんの絵をずっと見てきていますが、確実に技術は進歩しています。絵に関しての想像力も豊かで、黙々と描いている姿が印象的ですね。幼稚園の頃は恥ずかしがっておしゃべりが苦手だったけど、最近はきちんと自己主張もしてくれて嬉しいです」と、絶賛する。普段、教室では吉川さんの指示する課題をこなしていくのだが、年1回開催される二科展の作品は本人が自由に選んでいる。知里さんは毎回、絵本の中から描きたい画を探す。「上手く描くコツは、光と影をきちんと分けることです。今回、初めて動物の開いた口に挑戦したので、形や色など細かい箇所が大変でした」と笑う知里さんだが、今回の受賞は念願叶ってのもの。
 年々審査も厳しくなり、受賞人数も減っていることから、吉川さんでさえ「ちょっと難しいかな」と思っていたというが、受賞のニュースが飛び込んだ。「家族の一大ニュースでした!」と喜ぶのは、母の智子さん。そして、「二科展は色んな子ども達の個性が見える画が多くて面白かったです。今はただ好きで描いていると思うので、本人が将来的にどうなっていくのか見守っていきたいです」と、父の勝さんも微笑んだ。
 3カ月かけて1枚のペースで画を完成させるという知里さんだが、思うように描けず悔しくて涙することも。今まで描いてきた画では、どこに苦労をしたかすべてのポイントを忘れない。それが、彼女の上達の糸口になっているのだろう。そして、知里さんは最後に「今でも私の目標は、お兄ちゃん。いつか画家になりたいな」と、可愛いらしい笑顔を浮かべた。

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