【市原市】さぁ、どこへ行こう! 国分寺周辺をぶらり旅

 今年も心地良い季節がやってきた。3月25日(月)、国分寺公民館主催で開催された『春の国分寺散歩~国分寺周辺の花と史跡を楽しむ』に男女30名が集まり、約2時間かけて地元を散策した。講師は南木徹(なんもくとおる)さんと国分寺台ガイド同好会のみなさん。春の息吹を探して、参加者たちは公民館で写真を見ながら簡単な座学を受けた後、上総国分寺跡や神門五号墳、西広の板羽目堰跡、村上諏訪神社など歩行距離約4キロを回った。
「毎年1回開催している講座です。昨年は暖かったので桜が散り始めていましたが、今年はまだ1分咲きほど。板羽目堰付近では、菜の花と桜の素敵なスポットがあります。小湊鐵道の時間が合えばさらに見事な景色が見られるでしょう」と話す、南木さんの言葉でいざ出発!まず一行が到着したのは、公民館から歩いて5分ほどの上総国分僧寺。奈良時代中頃に聖武天皇の命で全国68カ国に建立された国立寺院のひとつ。建立以前は疫病や飢饉が流行り社会不安が大きかったとか。

現存する遺跡として見られる七重の塔の心楚(直径1・8メートル)には、かつて63メートルに及ぶ塔が建立されていた。「発掘調査では9世紀中頃の火災で崩壊したと考えられています。原因は戦や、雷などの自然災害が考えられるが、どれも確証に至っていません。南大門に近接する場所には畑もあったんですよ」という、南木さんの視線の先を見ては、参加者たちも当時に思いを馳せた。 続いて、境内にある国分寺薬師堂の茅葺(かやぶき)をチェック。薬師堂は市指定の文化財で、江戸中期に建立されたもの。綺麗に整えられた茅葺は30年から40年の単位できちんと葺き替えがされているとか。建物を見て回りながらも、参加者からは「国府論争の終結は今もまだされていないんですか」、「上総国分僧寺と国分尼寺ではご本尊が違うんですか?」と質問が飛んでいた。

 
 さらに参加者必見!国分寺本堂の中にお邪魔して彫物師として名高い『波の伊八』の作品である欄間を拝見。「左右2枚のうち、片方は未完成です。見習いの身だった伊八がここで作品を制作中に父親が亡くなり、慌てて故郷に戻り3代目を襲名したそうです。市原市では他に光厳寺で初代伊八の作品を見られます」と南木さん。作品の裏表を確かめながら、「やはり格好いい。裏には竜がいますよ」と、お互いに発見したことを口にし合う参加者。
 神門5号墳は史跡上総国分寺からほど近くにある『いちじく形』の墳墓。形から、定型化された前方後円墳への過渡期である3世紀前半頃に築造されたと思われていたが、今は2世紀に造られたものである可能性も出てきているとか。ここでも南木さんは、「すぐ近くは3号墳、4号墳のあった場所です。古墳の中には各地から渡ってきた鉄剣や鏡が埋まっているでしょう。出土品同士を比較し、年代を推察するのですが現在も調査がされています」と目を輝かせた。今後の調査に期待!


 一行が次に向かったのは、西広の板羽目堰跡。ここは平成7年に美しい日本のむら景観コンテストで農林水産大臣賞を受賞している。現在は電動式の鉄板による止水が行われているが、かつては杭に松を60本、板には杉を800本、水止めの俵を900近く使用して造られていた。「昭和46年に襲った一昼夜の豪雨がひどかったのを覚えています。養老川は暴れ川だからね」、「江戸時代の地図を見ると、川はものすごく蛇行しているもんね」という参加者の声に、「今は水量が増えると、自動的にオーバーフローして流れ出すので、滅多なことで氾濫はしないでしょう。高滝ダムでも大分調整されています。ただ、近年の雨量を考えるとあり得なくもない。危ないと思ったら、すぐ逃げることです」と、南木さんは返した。

あちこちで春爛漫

 
 寺社仏閣巡りも楽しいが、散歩の魅力は何より景色。咲き初めの桜やウグイスの声、庭先に咲いているボケの花。そして、一面に広がる菜の花。鮮やかな色のコントラストと穏やかな気候に、開放的な気分が増していく。「畑仕事をしていると、虫がちゃんと出てくる。暦って凄いね」、「何歩歩いたかな。汗かいたね」と話す、参加者たち。村上の上下諏訪神社の境内まで階段を30段近く上がると、海まで見通せそうな見晴らしの良さと円墳がある。そして、「ここは地元の人々が出羽三山詣をした記念碑や、奥には伊雑宮(いぞうぐう)の祠があります。伊勢神宮の食の神で、地域の米の豊作を願って分けてもらったのでしょう」と、南木さんは知識の伝授を最後まで忘れなかった。家から一歩踏み出して、地域巡りを楽しんでみてはいかが。国分寺台ガイド同好会は毎月1回開催中。詳細は問合せを。
問合せ:国分寺公民館
TEL.0436・24・1600

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