【市原市】アート×ミックス2020はもうそこまで来ている!

 5月2日(木)、市原湖畔美術館で開催されたのは『房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020 キックオフイベント』。総合ディレクターの北川フラムさん、アーティストの鴻池朋子さん、羊屋白玉さんの3人が鼎談(ていだん)した。芸術祭の開催は2020年3月20日から5月17日の59日間が予定されており、出演作家は40組程度。開催エリアは、小湊鐵道を利用した新たな会場である五井駅から養老渓谷駅までの各区間にある閉校となった小学校や施設など。『晴れたら市原、行こう』をキャッチフレーズに2014年に始まった同イベントは今回で3回目となり、さらなる進化を遂げていく。

 北川さんは、「市原市は工業地帯でもあり、東京近郊の里山として意味のある場所です。今、美術界には変化が訪れており、それは国が芸術祭に対してとても積極的な姿勢を見せていること。アートや歴史、文化や食の地域資源をミックスさせる必要があります」と、展望を語る。また2020年夏には東京オリンピック・パラリンピックも開催されるため、会期後も集客できるようなレガシーの創出が求められている。近年、外国人による訪日観光数は増加しており、新潟や瀬戸内で開催されている芸術祭ではボランティアサポーターの多くを外国人が占めていることも。アート×ミックス2020でも市原市内や都内近郊の人々に加えて、訪日外国人にアプローチしていく予定。運営の面では、サポーター組織の『菜の花プレーヤーズ』の支援が必要不可欠であり、今後参加を呼び掛けていく予定だ。

 鴻池朋子さんは、7月15日まで同美術館で開催中の『更級日記考―女性たちの、想像の部屋』の出展作家。おもちゃや雑貨のデザインを経て1998年より絵画や彫刻、映像やアニメーションなど様々な分野で作品を通し、芸術の問い直しを試みている。このトークイベントでは、鴻池さんは自身が参加した瀬戸内国際芸術祭2019について紹介。作品を発表する会場となった大島には国立ハンセン病療養所があり、鴻池さんはその療養所裏に生い茂る藪を自らの手で切り開き、瀬戸内海を見ながら周回できる散策路を制作したとか。また、「人の記憶はみんなそれぞれ。博物館や資料館はひとつの物語を合理的に説明してくれるけれど、芸術は各々の記憶や体験から幸せや感情を感じます」と、自らの信念を説明した。

 一方、羊屋白玉さんは第1回目のアート×ミックスで、小湊鐵道を舞台に行ったパフォーマンス『あんなに愛しあったのに~中房総小湊鐵道篇』の芸術監督、演出家。国内外で行われている現代美術の芸術祭で活躍しており、ニューズウィーク日本誌で『世界が認めた日本人女性100人』にも選出されている。「車窓から見える風景はもちろん、東京からの俳優の他に地域住民もパフォーマーとして参加したのが良かったです」と話す羊屋さんは、『あんなに愛しあったのに~中房総小湊鐵道篇』の映像を紹介。会場には、同作品に出演していた人も訪れ、羊屋さんの話に楽しそうに耳を傾けていた。また、北海道内で公演した作品2本を紹介、考察した。2020年のアート×ミックスへも参加予定で、どんなパフォーマンスが見られるのか楽しみだ。

市原が誇る芸術祭へ

 アート×ミックス2020で掲げるプロジェクトは多々ある。地域資源や空き家を活用し、海外で活躍するアーティストの参加、列車やバスだけでなく自転車までもアート化することを目標にする。体験型のワークショップやパフォーマンスが数多く予定されている他、操車場から渓谷を巡る日帰りコースのツアーなどの計画もある。2020年、どんな芸術祭が待っているのか。それは、市原市に関わるすべての人の手にかかっているのかもしれない。イベント内容および詳細については決まり次第、随時公式ホームページなどで発表される。
問合せ:アート×ミックス公式ホームページ
https://ichihara-artmix.jp/

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