~助けていただいた命~
私には4人の子どもがおりますが、3番目の子どもが妊娠4カ月の頃、切迫早産で大量出血し、緊急入院したことがありました。「明日まで状態が変わらなければ、赤ちゃんはあきらめてもらうことになるかもしれない」と医師に告げられたその夜は、ただただ自分の不甲斐なさとお腹の赤ちゃんへの詫びで、一晩中眠れませんでした。始めはショックのあまり、泣くことしかできなかったのですが、そのうちお腹の赤ちゃんと会話し始めました。朝を迎える頃には、「お母さんも頑張るから、あなたも一緒に頑張ろうね」と、何か吹っ切れたように強く語りかけていました。それから1カ月半ほど入院し、退院することができました。しかし、妊娠9カ月の頃、またしても切迫早産のため2度目の緊急入院。前回の入院の時のように、お腹の赤ちゃんとの深い会話ができ、1カ月早い出産でしたが、無事に長男が誕生しました。今考えると、あの辛く苦しい時期があったお蔭で、お腹の中の赤ちゃんとの絆が出来たように思います。
その長男もすくすくと育ち、その後、次男も生まれ、今では息子たちは二人とも消防士となり、人命救助をする仕事に就きました。あの時、命を助けていただいたことは、このことに繋がっていたのかと思うと、誠に感無量の気持ちです。
中嶋 悦子(なかしま えつこ)
1965年生まれ。宮崎県出身。二男二女の母。大網白里市在住。エンカレッジ・ステーション(株)代表取締役社長。NPO法人民間児童館おおきなかぶ理事長。ありんこ親子保育園園長。保育士。エッセイスト。
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