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ふるさとビジター館 ハンノキ
- 2019/7/4
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ハンノキ
夏の眩しい陽光を浴びて輝き、風に揺れるハンノキの葉を見ていると、どことなく風情を感じます。市内では、長年放置された休耕田や湿地などでハンノキの群落を見ることができます。 ハンノキはカバノキ科の落葉高木。高さは20メートルほどになります。花期は2月から3月頃で、雄花は、まるで細長いイモムシのようです。幹の皮目から空気を地下の根に送るシステムを持っていることから、湿地や湿原などの環境でも生育できるようになっています。また、根には「放線菌」と呼ばれる菌が共生しており、根粒を形成し、空気中の窒素をアンモニアに還元して宿主であるハンノキに供給していることから、栄養の乏しい場所でも丈夫に育つとのことです。ハンノキは、古くから染料や刈り取った稲を干す稲架木(はさぎ)などに使用され、人々の暮らしの身近なものであったことなどから、万葉集でも詠まれ、親しまれていました。しかし、近年では皮肉にもスギやヒノキとともに花粉症を引き起こす原因植物となっています。
ハンノキと言ったら忘れてはならないのが、鮮やかなメタリックグリーン色をしたミドリシジミと言う蝶です。幼虫はハンノキの葉を食べて成長するためハンノキがないと生息できません。生き物たちのつながりを守っていくことが大切ですね。
(ナチュラリストネット/時田良洋)