ふるさとビジター館 いちはら自然探訪

トラツグミ

 幾種類かのツグミの仲間が冬鳥として房総丘陵を訪れる。見通しの良い草地や田んぼではツグミ、日差しが差し込む明るい林ではアカハラ、少し暗い林ではシロハラ、そして、鬱蒼とした林や竹林では、トラツグミが生息する。
 トラツグミはその名の通り、黄色地に黒い斑点があり、縞々のトラ模様。大きさは30センチ。ツグミより一回り大きく、目が黒く、クリっとしている。ツグミの仲間に共通であるが、トラツグミも地面に降り、落ち葉をくちばしでひっくり返して歩き回り、ミミズや昆虫をとらえる。警戒心が強く、なかなか目にすることはできないが、林縁で採餌の場面に出会うことがある。ただ、模様が保護色で見つけにくい。
 夏季は山地や北方に移動し、夜通し「フィーーーン」と鳴く。この声が不気味に聞こえるのか、古代から伝説の怪物「ヌエ」の声と恐れられていたようで、古事記や日本書紀にも紹介されている。日本書記での源頼政の怪物退治はよく知られている。実際には、怪物ではなく、可愛らしい野鳥であるのだが…。また、この声は、大河ドラマの夜の場面の背景で流れていることがある。聞きようには悲しい声、寂しい声に響くせいであろうか、効果音として使われるようだ。房総丘陵では、なかなか聞くことができないのは残念である。
 この季節、散歩して、森の方から「ガサガサ」音がしたら、しばらく待ってみよう。ひょっこりとトラツグミが顔を出すかもしれない。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

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