私が生まれ育ったのは、東北地方のある小さな港町。浜辺でよく綺麗な形をした貝殻や、青や緑色をした石のようなガラス玉を見つけて遊んでいた記憶があります。この間、偶然に近所のフリーマーケットでこのガラス石を使ったアートを出展している店を見つけ、当時はガラス石と呼んでいたものが、『sea glass』 あるいは『beach glass』 と呼ばれている事を知りました。

 調べてみるとこの半透明のガラスのかけらは、海辺に捨てられた瓶が波の力で細かく砕け、何十年もの長い年月をかけて波に揉まれ、角が取れて丸味を帯び、再び浜辺へと打ち上げられ帰って来るとの事。『sea glass art』は、この宝石のような様々な色をしたガラス片を使って、木や草花や鳥や魚や虫達などの形を表現し、sea glass そのものに命を吹き込んでいきます。ガラスの傍に羽を付けたり触覚を伸ばしたりと、とてもシンプルですがそれ故に自分だけの物語を想像する事ができるのではないでしょうか。

 そんな作品達を暫くお店の前で見つめながら楽しんでいると、ふと我が家にも沢山のsea glass を入れた瓶を保管してあったのを思い出し、さっそく自分でも作ってみたくなってしまいました。子どもの頃は雲や石の形など何気ない物から物語を無限に作り出す事ができたように思いますが、大人になってしまうと、すべての子ども達が持つその素晴らしい創造性は、残念ながらいつの間にか消え失せてしまうような気がします。それでも家に帰って瓶の中から一つひとつガラス石を手に取って見つめ、楽しかった子どもの頃を思い出しながら、想像力を絞っていきました。

 幾つか作りましたが、初めてなので当然上手くできる訳もなく、それでも1番良いと思える物を載せる事にします。もし海岸に行かれた際は子どもの頃を思い出し、貝殻やsea glass を拾いながら、自分だけの物語を作ってみては如何でしょうか?

 

◇長谷川良二。長柄町在住。ハーブコーディネーター、ガーデニングコーディネーター、歯科医師。市原を中心に公民館でのハーブの指導などをしながら自然栽培で野菜を育て、養鶏、養蜂にもトライ中。

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