歴史小説「黄金の使者・ 丈部大麻呂」を発刊【市原市】

「丈部大麻呂」は上総国市原郡の郡司の子息であり、奈良東大寺の瑠舎那大仏(るしゃなだいぶつ)の表面をメッキするに必要な金の産出に成功し、無位無官から貴族に取り立てられた歴史上の人物である。

 大麻呂は奈良時代の歴史の荒波に翻弄(ほんろう)されながらも、斎宮頭(さいぐうのかみ)、造長岡京使(ぞうながおかきょうし)、織部正(おりべのかみ)を歴任し、最後は隠岐国の国守となる。史上例をみないヒラ役人の身分から国司にまで登りつめた古代市原の英雄であり、本著はそのサクセスストーリーである。

 大麻呂の生きた奈良の時代は、表面的には天平文化に彩られた華やかな時代であったが、裏の世界では、長屋王の変、橘奈良麻呂の乱、藤原仲麻呂の乱など陰謀と暗殺が渦巻く、政権闘争に明け暮れた時代でもあった。大麻呂は同時代の生き証人であり、奈良時代の歴史を概観するうえでも有益である。また海上郡(養老川の南側)の郡司の子息で隼人正(はやとのかみ)となった上総宿祢建麻呂(かずさすくねたけまろ)や、同郡司の息女で光明皇后の側近となった上海上内侍(かみうなかみのないしし)との交わりも興味深く描かれる。

 著者は房総古代道研究会と観光ボランティアガイド・かずさのくに国府探検会の会長で、房総の地域史を研究している山本勝彦氏。現在、一冊500円で一般頒布している(A5版104ページ)。ご希望の方はFAXまたは電話(いずれも番号同じ)にてお申込みを。

Tel.Fax.0436・23・1098

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