今回と次回で、未来の話をしたいと思います。今世紀の中頃までに世界の人口は100億人を超えると言われています。気候変動により農作物の生産がますます不安定になるなかで、世界中の人々に均等に食料を分配していく事は、今後の重大な課題のひとつである事は言うまでもありません。

 現在地球上の3人に1人が飢餓や栄養失調に苦しんでいますが、一方で毎年何万トンもの食べ物を廃棄している国もあります。食糧危機は戦争を引き起こし、日本のように時給率が極端に低く、大半を輸入に頼っている国はあっという間に崩壊してしまう恐れがあります。自国に食糧難を抱えた国は、たちまち食料の輸出を停止してしまうからです。加えて日本の農業従事者の平均年齢は既に65歳を超え、後継者不足もかなり深刻なようです。食料問題は決して他国の出来事ではありませんが、我々が現時点でその事を実感しているとは言い難いと思います。

 話は戻りますが、世界中の人々ができるだけ均等に食料を得られる努力は怠ってはなりません。今、世界各地でこの緊急の課題である食糧危機を解決しようと、様々な試みが始まっています。種子バンクに始まり、昆虫食、遺伝子工学による動植物の生産、培養肉などのバイオテクノロジーなどの様々な研究が進められており、有効な解決策を探っています。現代農業といわれる無機質肥料や農薬を大量消費する方法は、肥料の資源に限りがあり、あと40~50年ほどでなくなると予想されています。更には過剰な農薬と肥料の使用により、毎年広大な農地が使い物にならなくなり、長期的な展望は望めそうにありません。一方で有機農法の収穫量は、現代農法の約1/4ほどで価格は数倍と高額です。

 大量に生産され、なおかつ安全な品質と手頃な価格を併せ持つ作物を生産するには、まだまだ課題が多いのが現実のようです。(来月に続く)

 

◇長谷川良二。長柄町在住。ハーブコーディネーター、ガーデニングコーディネーター、歯科医師。市原を中心に公民館でのハーブの指導などをしながら自然栽培で野菜を育て、養鶏、養蜂にもトライ中。

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