私の感情は、いつも絵と共に生きる
- 2013/9/20
- 外房版
私の感情は、いつも絵と共に生きる
ハッピー絵描きand絵本作家 関じぇしかさん
茂原市在住の関じぇしかさん(34)は、鮮やかな色とはっきりとした線で描く絵本作家である。文化服装学院でディスプレイデザイン科に在籍、ショッピングモールや街の店でウィンドウを飾るような空間ディスプレイを学び、多くの刺激を受けた。卒業後はアパレル関係の店に就職し、店舗の内装を手がけた。「店舗の仕事をしながらも、音楽関係の知り合いでバンド演奏者のTシャツのデザイン、フライヤーの作成など絵に関わることが多かった」と関さんは話す。
1メートル以上ある大きな板に、まるで身体を一体化させるようにしてデザインをかき込んでいく姿は、小柄な身長から発せられるとは思えないほどエネルギーに満ちている。25歳で結婚、長女が2歳を過ぎるとお絵かきをするように。「私が絵を描いて少しお話を加えるだけで娘は大喜び。それが嬉しくて、私はどんどん描いた。長男も生まれると男女で共通に興味を持てるのはやはり絵であり、絵本だった。本屋さんで探してもピンと来るものが見つからなくて、自分で作ることにした」と続ける。
関さんの絵本は家で読むだけでなく、鞄にサッと入って持ち運びが楽なようにはがき半分サイズと小さめだ。そして短い言葉ながらはっきりとした意味を感じさせてくれる絵とともに、装丁も一つ一つが丁寧に作り上げられていて愛情こもった一品となっている。「病院に行く時など、そっと側に寄り添えたら。私が子育てをしていて辛いことがあった時、力をくれたのは本や絵本だった。絵本には人を動かせる力がある、子どもを喜ばせることができる最大のツールだと気づいた」と絵本が小さめの理由を語り、ファイルに保存してある絵を次々に広げる。
「誰かの感情を引き出せると同時に、絵は私の感情を表現できる手法になっている。言葉で気持ちや考えを伝えるのは苦手。でも、絵ならばイメージしたものをすぐ描ける。毎日描いていても同じものは出来上がらない。子どもは9時には寝てしまうので、そこから遅いと夜中の3時近くまで作業することもある」という関さんは、どうしてここまで強い想いを持っているのか。「まだ我が子のためだけに絵を描いていた時期に、東日本大震災に見舞われた。多くの人が我を失い、千葉の内陸は比較的被害が少なかったにも関わらず、食料や日用品を買いあさった。確かに、安全を確保できないという不安はあるのかもしれないが、先人は電気もガスも水周りも充分ではない中で生活できていた。目先のことしか見られない現代に、警鐘を鳴らしたい。そんな想いを絵で表している」という。
感情とは人の心の中にぽっと生まれては消えていく、形のないもの。たとえ自分で手がけた作品であっても、数日後に同じものを見れば過去の自分という、ある意味他人の作品と向き合うことになる。だからこそ、「人に何かを伝えようとしている一方で、私は絵を通して自分を見つめているようだ」と自己分析。1年間かけて何度も描いては塗りつぶしている作品がある。世の中の煩雑さや、混沌、動き続ける情勢、すべて時間を掛ければいいわけではない。どこへ向かっているのかも定かではない。それでも関さんは迷った想いを絵に込める。
現在は、イベントに出展して絵本の販売、音楽をかけて即興で絵を描くライブペイントを行ったり、Tシャツなどのデザイン制作、コンペティションへの参加など幅広く活動している。主に使用する画材はアクリル画集にポスターカラーで、パソコンに取り込み色づけすることもある。「絵によく登場するのは太陽」という関さんは、まさに太陽のような熱さ、明るさを持っている。時々迷って雲に隠れても、必ず次の日には顔を出し、音楽にのって描いた絵で周囲を照らしてくれることだろう。
最後に、「目指す夢は、世界中の人に私の絵を見てもらうこと。まずは地元の活性化を手伝えるようにイベントに参加していきたい。そして自分自身を見つめるとともに、お母さんという存在でもこんなにできると示したい」と強く語った。次回イベントは10月6日(日)長生町都市農村交流センターで行われる『第10回エコ・フェスタin千葉』にてバンドねぎばんばんとともに、ライブペイントを披露する予定。
問合せ 関さん
TEL 080・5488・6005
http://ameblo.jp/sunny-cream