偉大なる音楽の力、お年寄りに笑顔を

サウンドゴールド

 東金市内の介護施設を慰問し、演奏活動を行っているグループがある。市内在住60歳以上のメンバーで構成されているシニアアンサンブル『サウンドゴールド』だ。衣装は白いシャツにゴールドのネクタイ。曲目はお年寄りが聞いて懐かしいと感じる『月の沙漠』、『瀬戸の花嫁』などの童謡や歌謡曲が中心。歌詞カードを配ってみんなで合唱したり、紐を使ったストレッチをしたり施設利用者参加型のプログラムを取り入れている。     
 結成してわずか1年だが、忘れられないエピソードがある。筋肉が固まる病気を患っている元教師の女性がいた。車椅子で生活し、動くことはもちろん話すこともできない状態の彼女が演奏終了後、音楽に心を動かされたのか大きな叫び声を上げたのだ。また別の施設では、演奏が始まる前はずっと眠っていた90歳すぎの車椅子の男性。介助なしではトイレに行くこともできなかったのだが、音楽が聞こえるとパッと目を開け、終わったあと1人で立ってさっさとトイレに向かったという。「もう、周りがとてもびっくりしていました」活動の中核となっている錦織(にしごり)博さん(74)と謙子(やすこ)さん(76))夫婦は振り返る。
「涙を流しながら聞く方、手を叩いて喜んで下さる方は多いです。ちょっと冗談を言うと笑いも起きる。皆さんの表情が明るくなるのがわかります。口も滑らかになるしね。それを見るとこちらも嬉しくて生き甲斐を感じる。お互いに元気になるんです」8年前に東京から娘と孫のいる東金市に移り住んだ。謙子さんは小学6年生から大人になるまでピアノを習い続け、就いた職はカワイ音楽教室での子ども向けのピアノ講師。習っていた当時は家にピアノがあるわけではなく、授業が始まる前の早朝に学校のピアノを借りて練習に励んだという。
 そんな謙子さんには20年ほど前からビジョンがあった。音楽でお年寄りの心を癒す慰問活動がしたい。「夢が叶いました」と嬉しそうに話す。一方、前西福俵区長の博さんのピアノ経験は小学校の頃に習った3年間だけだというから驚きだ。共に地域に愛着が生まれ、謙子さんは『西福俵讃歌』の作曲を手がけ、博さんは『NPO法人エリア99』が地域の情報を編集している冊子『燦夢(さんむ)の詩(うた)』の制作にも携わっている。
 メインのピアノを謙子さんが担当し、博さんと柴田千恵さん(68)がキーボードで助奏(オブリガード)する。それにベースギターの新田博さん(73)が加わる4人が固定のメンバー。柴田さんもピアノ経験は小学生の頃。「音楽の先生から放課後に習っていました。錦織さんから声をかけてもらった時は楽譜を読むのがやっとでしたが、一生懸命練習し、今はとても楽しんで活動しています」と微笑んだ。新田さんは大学時代からハワイアンを得意とするギタリスト。曲目によっては、元小学校の音楽教師で教育現場での音楽活動に情熱を注ぎ続けた成東市在住、高橋武雄さん(83)のアコーディオンと、入れ替わりのボーカルが入ることもある。
 昨年1月の東金市チャリティー演芸会での出演を皮切りに活動をスタートさせた。以後、市のボランティアに登録し介護施設を訪問するように。依頼に応えての出演は1年間で約40件ほど。市のイベントや幼稚園などで演奏することもある。5月24日には成東文化会館のぎくプラザのホールで行われる『歌と演奏ふれあい祭』でステージに立つことが決まっている。
 錦織さんご夫婦は『サウンドゴールド』以外にもいくつかのアンサンブルに所属し、リーダー的役割を担っている。その理由は「『サウンドゴールド』を母体として地域へ貢献できる音楽活動団体を広げ、若い世代の後継者を育てていきたい」から。これからの高齢化社会、音楽は大きな支えとなることだろう。

問合せ 錦織さん 
TEL 080・3096・6775


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