身近な動植物をモチーフに作陶

 自然豊かな睦沢町で暮らす小原由紀子さん(70)は、自宅敷地内に窯を構え、陶芸に打ち込んでいる。
 子どもの頃から絵を描くのが好きだった小原さん。「美術の先生に絵を習いに行っていた」と話す。両親も絵を描くことが好きで理解はあったという。その後、武蔵野美術大学に進み油絵を専攻。「母が茶道をやっていたので茶碗に詳しく、私も焼き物に関心はあったけれど、当時は絵に集中していたから、陶芸もやろうとは思わなかった」
 卒業後は絵の教室を開いたが、「絵だけで生活していくのは難しい」、ならば日用品としても求められる焼き物をやろうと、東京から睦沢に移り住む数年前、近くに住む陶芸家に基礎を習いに行った。そして、30年ほど前、母方の祖父が亡くなり祖母の世話をするため、睦沢に両親と一緒に引っ越してくると、「都会では火を扱う焼き物は存分にできなかったけれど、ここでなら自分の思うようにできる」と喜んだ。灯油窯『由楽窯』を築き、作陶に励むと同時に、焼き物や絵の教室を開くなど制作活動を重ねてきた。
 30代半ばに「体力が落ちてきたので何とかしよう」と始めた山登り。「自然の中に入っていく感覚が魅力だった」。所属していた山の会でヒマラヤに行くことになり、その参加費用に充てるために絵の個展を開いたこともあった。現在は山と遠ざかってしまったが、作陶のモチーフを、身近な自然の中に見出す日々を送る。敷地内で自由に放し飼いにしている猫や鶏、毎年訪れるアオバズク。庭先を走り抜けてゆく烏骨鶏やチャボ。皆、作品のモチーフに使われている。
 小原さんの周囲にはゆったりした時間が流れているようだ。「お茶を沸かすわね」と、屋外に置かれたストーブに薪をくべる。工房の薪ストーブは煮炊きにも使う。風呂も薪で沸かす。畑で野菜も作る。「今後は季節の野の花のシリーズ、花暦を造りたい。他、自然の風景に鳥等を入れた食器づくりもしたい」とのこと。また、近い将来、工房内に常設展示のスペースも設けたいと準備を進めている。

問合せ 小原さん
TEL 0475・44・1822

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