全国小・中学校作文コンクール文部科学大臣賞受賞

ガチャ、バタン、ジュワーと音で自分の気持ちを描いた
茂原市立豊田小学校3年 野口結菜さん

静まり返った家の中に一人でいて自分のたてる鉛筆や時計の針が動く音でお留守番の不安や緊張を表現した作文を書いた野口結菜さん(9)。一度帰宅した4歳年上の兄修斗(しゅうと)さんが暗くなった戸外に再び出て行ったあとの心細さや母親が帰ってきたときの気持ちも音で表し、3万点以上の応募のあった第64回全国小・中学校作文コンクールで文部科学大臣賞に輝いた。「やっぱり家族で一緒にいるときの音が一番好き」と結んだ内容に「野口さんが感じた不安がさまざまな音を通して読む人の心に深く、強くせまってきます。文章を書く人すべてに参考にしてほしい作品」と児童文学者石崎洋司さんからの講評を受けた。
受賞を知った時のことを「先生から教室の隣の小さな部屋に呼ばれたので怒られるのかなと思った」と話す結菜さん。担任の高木宏子教諭から「日本一の賞だよ」と伝えられたすぐは「りっぱな賞をもらえたのだと思ったけれど、よく意味がわからなかった」と素直な感想を持った。教室に戻ると同級生たちに囲まれ「なに、なに」と聞かれたので教えると「すごいね」と喜んでくれた。その日、学校から帰る前に「お父さんとお兄ちゃんに電話で教えた。お母さんには内緒にしておいて驚かせようと思った」という。けれども、すでに学校から自宅に電話連絡が入ったあとであり、「玄関で先にお母さんに『おめでとう』と言われた」と残念がる。
 同賞の受賞者は中学生の部と小学校高学年の部、低学年の部の野口さんの3人。そのなかで代表として野口さんが受賞式に作文の要約を朗読することになった。高木教諭と積田教諭が文章、読み方や時間の配分を指導してくれ、大勢の同級生たちを前に朗読の練習をする機会も設けてくれたという。昨年12月にホテルニューオータニで行われた式典には祖父母、両親、兄の6人で出かけた。リハーサルでは緊張して早口になったけれど、本番は堂々と読めた。祖母は涙をぬぐいながら喜んで見ていたそうだ。来賓の挨拶で皇族の高円宮久子様も褒めてくれた。式典と記念撮影が終わったあと「皇室用の椅子に座って写真を撮ったり、お祝いにすき焼きを食べに行ったりした」とのこと。ほかにも「今日は歯医者に行くと言われ、いやだなと思いながら車に乗っていたらディズニーシ―に連れて行ってくれた」とサプライズのご褒美もあったと笑顔で語る。
以前にもこの作文コンクールで県の優秀賞を受賞したと聞くと、よほど文章を書くのが好きなのかと思うが、「宿題があると書くぐらいで、日記も書かない」。体を動かす遊びが大好き。大縄跳び、ドッジボールや『王様』というゲームをして遊ぶ。『王様』は地面に大きなマスを書き、ボールをやりとりして、家来、王様など位を上げていくゲーム。メモ用紙に絵を描いて楽しそうにルールを説明してくれた。ピアノ、習字、スイミングなどで忙しい毎日。一番好きなのは学習塾での算数の勉強だとか。怖いテレビのシーンはみんなが楽しんでいるのに見られない、学校のトイレも怖い。作文のように普段も怖がり。「誰もいない2階に行くときはお父さんと一緒に行く」というほど父親が大好き。「お父さんは優しくていつも遊んでくれ、そぼろごはんも作ってくれる。お母さんの卵スープとチャーハンも好き。お母さんは知らない言葉、編み物やお裁縫を教えてくれる」とにこにこしながら話す。「お兄ちゃんは頼むと重い荷物を持ってくれる」と仲良し。一人で買い物にいくと必ず結菜さんの分も買ってきてくれるという。毎年冬には家族と一緒にスノーボードに行く。うまく滑れずおいていかれても弱音は吐かない。「小さいころから手のかからない子だった。疲れたら休んでいいよと言ってもがんばる子」と母親。結菜さんによると自分は「食いしんぼうであばれんぼう」だという。「4年生になったらテニスクラブに入りたい」そうだ。
将来の願いは「テレビドラマに出てくるようなかっこいい外科医になって患者さんのお腹を診てみたい」とのこと。「チャレンジ精神が旺盛なのでいろいろなことを体験させてあげたい。このまま素直に育ってほしい」と願う母親と「大きくなっても一緒に飲みに行ったり、買い物に行ったりしたい」と目を細める父親。作文からも垣間見える暖かい家庭で育つ結菜さんの未来は音にすると「ワクワク」だそうだ。

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